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「ネガワット取引」の法律、来年4月施行へ 経産省でルール整備の議論スタート

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「ネガワット取引」の法律、来年4月施行へ 経産省でルール整備の議論スタート

経済産業省は30日、電力基本政策小委員会(第5回)を開催し、電力小売りの全面自由化に向けた事前準備の進捗状況について確認するとともに、今後の検討課題等について議論した。

小売全面自由化に対応するスマートメーターの設置では、東京電力において大幅な遅れが生じている。契約先の切替え(スイッチング)の申込み件数に対する、スマートメーター取替率は41.6%にとどまる。東京電力は、契約切替日までにスマートメーター設置が間に合わない場合も、従来のメーターで電気使用量を計測することにより契約切替は可能であり、顧客に不利益が生じないよう対応していくと説明している。

経済産業省からは、今後の検討課題とされている「ネガワット取引」の「容量メカニズム」の資料が提示された。改正電気事業法(第3弾)に基づくネガワット取引については、2017年4月1日から開始する案が示された。

今後の検討課題:ネガワット取引について

ネガワット取引は、デマンドリスポンス(需要反応)の一種である事業者からの要請に応じて需要家が需要を抑制し、その抑制量に応じた対価を事業者が支払うものである。

今後拡大が期待されるネガワット取引

今後拡大が期待されるネガワット取引

今後、拡大が期待されるネガワット取引は、これまでのような一般電気事業者や新電力等と大口需要家との二者間で行われる取引ではなく、小売電気事業者等と需要家との間に専門の第三者(ネガワット事業者)が介在することにより、家庭も含めた多様な需要家を対象として、幅広い小売電気事業者等が取引できるものである。こうした取引が幅広く行われるようになるためには、取引の具体的内容や責任分担等について、ルール整備を行う必要がある。 

ネガワット取引については、エネルギー基本計画において、電力システム改革の中で新しい事業形態を導入しやすい環境整備を実現すること明記されている。また、昨年11月の「未来投資に向けた官民対話」において、安倍晋三首相は2017年までにネガワット取引市場を創設すると語っている。 

環境整備の一環として、昨年の電気事業法改正法(第3弾)において、需要抑制量(ネガワット量)についても、発電した電力量と同様に、一般送配電事業者が行う電力量調整供給(インバランス供給)の対象と位置付けられた。

今回の委員会では、ネガワット取引の具体的内容や取引を行う事業者の範囲等、各論点の考え方、今後の検討の進め方について議論した。 

経済産業省からは、改正電気事業法(第3弾)に基づくネガワット取引開始を、ガスの小売全面自由化と同時に、2017年4月1日から開始する方向性が示された。

また、インバランス供給の対象となるネガワット取引量の下限値を、小売電気事業者の最大需要電力量や日本卸電力取引所の最小取引単位等を踏まえ、100kWとする案が提示された。インバランス供給は小売電気事業者等による計画通りの供給力調達が可能となる一方、対象を増やすと、一般送配電事業者の同供給に係る契約締結・請求等のコストを増大させる恐れがあるとし、この下限値を例示した。

「ネガワット取引に関するガイドライン」策定を通じて、ネガワット取引に際しての基本的な考え方を示し、一部は具体的な指針を設定することなども盛り込んでいる。

今後の検討課題:容量メカニズムについて

容量メカニズムとは、小売電気事業者や発電事業者に将来必要となる供給力を確実に確保することを求めることで、発電投資を促しつつ、国全体で将来必要となる供給力を確保する仕組みである。

電力システム改革専門委員会報告書では、自由化後の供給力確保策として、「容量市場を創設することが適当」とされている。制度設計WGでは、容量メカニズムの具体的な仕組みは、「海外先進事例も踏まえ、更に検討が必要」であり、創設時期についても、「必ずしも小売全面自由化と同時とすることにはこだわらず、引き続き検討」としている。

経済産業省の資料では、容量メカニズムの基本的な考え方や具体的な検討を進めていくにあたっての論点等が示されている。

具体的な検討課題(例)

今後の検討課題(たたき台)において、政策的取組みのうち、特に競争力強化に資する「成長戦略の推進」に関連する具体的な検討課題(例)も示した。これは例示したものであり、網羅的なものではなく、今後、他の項目も必要に応じて検討していく一方、例示項目すべてを検討していくものでもないとしている。

(1)市場環境整備

容量メカニズムの導入/ネガワット取引市場の創設/卸電力市場の活性化/電力先物市場の創設/低炭素電源市場の創出/リアルタイム市場の創設

(2)競争促進

厳格な市場・取引監視/競争状況に関する情報提供(競争状況レビュー等)/送配電に係る設備形成や利用ルールの在り方/電力ベンチャーの創出/小売事業への外資参入の促進(積極的な情報提供等)

(3)競争力強化

設備投資の促進(非効率な設備の休廃止や稼働減)/技術開発の推進(高効率火力、次世代送配電システム等)/海外展開促進(高効率火力発電の導入支援等)/電力関連新規ビジネスの促進(スマートメーターの活用等)/IoTを活用した産業革新(電力IoT)/サイバーセキュリティ対策の強化

小売全面自由化に向けた事前準備の進捗状況

小売全面自由化に向けて、昨年8月以降、小売電気事業者の登録の受付を開始した。これまでに300件を超える申請を受け付け、計266件を登録している。また、4月1日付けで現在の一般電気事業者10社が小売電気事業者に登録されたものとみなされる予定。

電力広域的運営推進機関によると、スイッチング支援システムを通じた3月23日時点での契約先の切替え(スイッチング)の申込み件数(自社内の契約切替え(規制→自由)を含まず、他社への契約先の切替えの件数に限る)は約33万件。2014年度の一般家庭等の通常の契約口数を用いて試算したスイッチングの申込み率は全国で0.53%。東京電力管内で0.84%、関西電力管内で0.95%と高くなっている。

各電力会社(送配電部門)は、小売全面自由化に対応するスマートメーターについては、原則として4月1日までに、契約先の切替えを希望する需要家に対して優先的に設置することとされている。ただし、東京電力においては、設置に遅れが生じている。東京電力の3/17時点でのスイッチングの申込み件数(自社内の契約切替えを含む)は38.47万件で、そのうち、スマートメーター設置済件数(3/25時点)は16.02万台(取替率41.6%)となっている。

家庭向けの電力の小売自由化の認知度はアップ

3月初めに実施した、小売全面自由化への認知度を調査する一般国民向けのWEBアンケート調査の結果も紹介した。昨年11月にも同様の調査を実施している。家庭向けの電力の小売自由化について認知している人の割合は、昨年11月調査と比べて4%増加。具体的知識の認知度は昨年11月調査より高くなっているが、「電力会社を切り替えても停電の頻度や電気そのものの質は変わらないこと」を45%が「知らない」(昨年11月調査時は70%が「知らない」)など、認知度が低い事項も見られた。

電力広域的運営推進機関の活動概況等について

電力広域的運営推進機関(広域機関)は、活動概況について報告した。広域機関は第3段階で行われる電力システム改革の第1段階として、電源の広域的な活用に必要な送配電網の整備を進めるとともに、全国大で平常時・緊急時の需給調整機能を強化することを目的に2015年4月1日に設立された。会員数は787社(3/1時点)。

2015年度における取組み概要として、1.需給ひっ迫時に、電源の焚き増しや電力融通の指示を実施、2.地域間連系線等の増強を推進、3.系統アクセスの受付、効率的な設備形成を推進、4.供給計画を取りまとめ。調整力等の在り方の検討を実施、5.スイッチング支援システムの運用を開始、をあげる。

地域間連系線等の増強を推進については、個別の地域間連系線等の増強では、2015年9月、(1)東北東京間連系線(570万kW→1120万kW)および(2)東京中部間連系設備(210万kW→300万kW)の増強に係る基本要件を取りまとめた。今後、実施案および事業実施主体や受益者・費用負担割合について、さらに検討を進め、(1)東北東京間連系線については2016年10月目途、(2)東京中部間連系設備については2016年6月目途、に、それぞれ広域系統整備計画を取りまとめる予定。広域系統長期方針については、2016年3月23日に中間とりまとめを公表した。

【参考】
経済産業省 - 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 電力基本政策小委員会(第5回)‐配布資料

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