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下水道に改革を起こす「B-DASHプロジェクト」、2016年度の12事業が決定

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国土交通省は4月5日、下水道事業の発展と水ビジネスの海外展開を支援するためのプロジェクトである「B-DASHプロジェクト」の2016年度の実施技術を決定した。

今回対象となるテーマは下記の5つ。1と2は実規模での実証を、3~5については予備調査をそれぞれ行う。

  1. 中小規模処理場を対象とした下水汚泥の有効利用技術
  2. ダウンサイジング可能な水処理技術
  3. 下水熱を利用した車道融雪技術
  4. 災害時に適した処理・消毒技術
  5. 消化工程なしで下水道資源から水素を製造する技術

市や大学なども提携して計12技術を実施

今回は実規模事業4件、予備調査8件の合計12技術を実施する。

実規模事業にはヒートポンプ技術を応用した省エネかつ低コストの技術や、特殊繊維担体を用いた余剰汚泥削減技術などが選ばれた。

予備調査は、新素材による高採熱管を使用した場合の下水熱の車道融雪への適用条件をシミュレーションで確認する調査や、下水処理水と海水の温度差を利用した水素製造システムの調査などを実施する予定だ。

1. 中小規模処理事業を対象とした下水汚泥の有効利用技術

肥料化、燃料化技術(脱水機の改築と合わせた導入に適した技術)

  1. (ア)「脱水乾燥システムによる下水汚泥の肥料化、燃料化技術実証事業」
    脱水機と乾燥機の一体型システムで製造された乾燥汚泥の肥料化、燃料化などするほか、設備の性能、ライフサイクルコスト縮減などを実証する事業。実施者は月島機械(東京都中央区)、サンエコサーマル(栃木県鹿沼市)、日本下水道事業団(東京都文京区)、鹿沼市農業公社、鹿沼市から成る共同研究体。実証フィールドは鹿沼市黒川終末処理場。

肥料化・燃料化技術(上記以外の技術)

  1. (イ)「自己熱再生型ヒートポンプ式高効率下水汚泥乾燥技術実証事業」
    ヒートポンプ技術を応用したエネルギー効率の高い高性能乾燥システムを導入し、省エネで低コスト型の汚泥乾燥を実証する事業。また、乾燥汚泥の性状を調査し具体的な有効利用方法を検討する。実施者は大川原製作所(静岡県吉田町)、関西電力(大阪市北区)、秦野市から成る共同研究体。実証フィールドは秦野市浄水管理センター。

2. ダウンサイジング可能な水処理技術

標準活性汚泥法代替技術

  1. (ア)DHSシステムを用いた水量変動追従型水処理技術実証事業
    「スポンジ状担体を充填した散水ろ床」と「生物膜ろ過槽」を組み合わせ、効率的にダウンサイジングが可能な水処理技術を実証する事業。また、コスト縮減効果や流入水量に応じた電力使用量削減効果などもあわせて実証する。実施者は三機工業(東京都中央区)、東北大学(宮城県仙台市)、香川高等専門学校(香川県高松市)、高知工業高等専門学校(高知県南国市)、日本下水道事業団、須崎市から成る共同研究体。実証フィールドは須崎市終末処理場。

OD法代替技術

  1. (イ)「特殊繊維担体を用いた余剰汚泥削減型水処理技術実証事業」
    反応タンクの多段化と特殊繊維担体の利用で、余剰汚泥発生量を大幅に削減し汚泥処理設備のダウンサイジングを可能にする水処理技術を開発する事業。汚泥削減効果やライフサイクルコスト縮減効果などを実証する。実施者はIHI環境エンジニアリング(東京都江東区)、帝人(大阪府大阪市)、日本下水道事業団、辰野町から成る共同研究体。実証フィールドは辰野水処理センター。

3. 下水熱を利用した車道融雪技術

(ア) 下水熱を利用した車道融雪技術の実用化に関する調査事業

十日町市の既設実証施設を活用し、従来技術(電気融雪式、灯油融雪式)と下水道熱活用技術の比較検討を行う事業。実施者は東亜グラウト工業(東京都新宿区)と十日町市から成る共同研究体。

(イ)下水熱および車道融雪の特性を考慮した下水熱利用融雪技術に関する調査事業

下水熱で温められた循環水をポンプで融雪パネルに送るシステムを用い、新素材による高採熱管を使用した場合の車道融雪への適用条件をシミュレーションで確認する事業。実施者は興和(愛知県名古屋市)、積水化学工業(大阪市北区)、新潟市から成る共同研究体。

(ウ)下水熱蓄熱融雪システムの開発に関する調査事業

熱の消費と生産を時間的にずらして平準化させる「下水熱蓄熱システム」と高効率な「金属製熱交換器」を用いた融雪技術の確認を行う事業。また、事業採算性などの導入における課題点の整理も行う。実施者は総合設備コンサルタント(東京都渋谷区)、大日本プラスチックス(大阪市北区)、中央復建コンサルタンツ(東京都千代田区)、ディンプレックスジャパン(北海道札幌市)、北海道大学(北海道札幌市)、大阪市立大学(大阪府大阪市)、旭川市から成る共同研究体。

4. 災害時に適した処理・消毒技術

不織布フィルターと限外ろ過膜による未処理下水の除菌システムの開発に関する調査事業

下水中の菌を安全に除去する省エネ技術として、不織布(プレフィルター)による前処理とUF膜処理を組み合せた方法について、ランニングコストや技術性能の確認を行う事業。実施者は王子ホールディングス(東京都中央区)、王子エンジニアリング(東京都中央区)、クラレアクア(東京都千代田区)から成る共同研究体。

5. 消化工程なしで下水道資源から水素を製造する技術

(ア)下水汚泥の熱分解高純度水素製造プロセス技術研究開発に関する調査事業

下水汚泥に鉄イオンと消石灰を混ぜたものを加熱し純度の高い水素を得るプロセスについての実験を行い、パイロットプラントで確認する事業。実施者はオストランド(東京都港区)、iPL(神奈川県厚木市)、成蹊大学(東京都武蔵野市)、産業技術総合研究所(東京都千代田区)から成る共同研究体。

(イ)下水処理水と海水の塩分濃度差を利用した水素製造システムの実用化に関する調査事業

下水処理水と海水の塩分濃度差、下水処理水のポテンシャルや下水処理場の立地条件を活かした新たな水素製造技術についての水素発生量、水素純度などの技術的な性能を福岡市のフィールドを活用し確認する事業。実施者は山口大学(山口県山口市)、正興電機製作所(福岡県福岡市)、日本下水道事業団から成る共同研究体。

(ウ)下水汚泥から水素を直接製造する技術に関する調査事業

水酸化ニッケルおよび水酸化カルシウムを用い、下水汚泥から水素を連続的に製造する技術についての事業採算性や技術性能の確認を行う事業。実施者は東北大、カーボンフリーネットワーク(宮城県仙台市)、大和三光製作所(東京都新宿区)、弘前市から成る共同研究体。

(エ)下水処理水を利用した水素発電による下水道維持管理コスト低減に関する調査事業

下水処理水とマグネシウムから水素及び酸化マグネシウムを製造する技術について、事業採算性や技術性能の確認を行う事業。実施者は清水建設(東京都中央区)、積水化学工業、パワーユナイテッド、大阪狭山市、軽井沢町、小林市から成る共同研究体。

下水から熱エネルギーや水素を

国土交通省では、下水道事業における低炭素・循環型社会の構築やライフサイクルコスト縮減、浸水対策などを実現するため、また、水ビジネスの海外展開を支援するため、新技術の研究開発・実用化を加速する下水道革新的技術実証事業(B-DASHプロジェクト※)を実施している。

本事業では、人口減少などによる下水処理量の変化に柔軟に対応できる、ダウンサイジング可能な水処理技術や下水汚泥や下水処理水から水素を製造する様々な技術、下水の熱を利用した車道融雪技術などについての実規模事業や予備調査を行っている。

※B-DASHプロジェクト:Breakthrough by Dynamic Approach in Sewage High Technology Project

【参考】
国土交通省 - 平成28年度 B-DASHプロジェクト実施技術を決定

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