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東京⇔中部間の連系設備、210万kW→300万kWへの増強計画が策定

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電力広域的運営推進機関は29日、東日本大震災相当の大規模災害発生時の電力の安定供給確保に向けて、東西地域間で電力融通を行うために検討を重ねてきた、東京中部間連系設備(FC)に係る広域系統整備計画を策定し公表した。

今回の広域系統整備では、現在計画中のFC210万kWから300万kWまで90万kW増強することとした。FCの強化ルートについては、経済性を重視し、佐久間に30万kW、東清水60万kWを増設する。なお、佐久間、東清水での増強案では、経年60年程度となる120km超の長距離送電線の増強工事が必要となり、本増強により当該送電線の老朽劣化対策との整合を図ることが可能になる。

本広域系統整備に要する概略工事費は1,854億円。現在進行中のFC210万kW増強工事工期への影響にも留意し、増強完了時期は2027年度末とする。

今回の広域系統整備計画においては、既設設備の増強が大部分であり、既設設備を保有する電気事業者にて対策工事を実施することが合理的であると判断し、実施案および事業実施主体の募集は行わず、当該の既設設備を保有する、東京電力パワーグリッド、中部電力および電源開発へ実施案の提出を要請した。

各社から受領した実施案について、業務規程等に掲げる項目を評価した結果、各項目の評価結果が妥当であることが確認できたことから、本広域系統整備は提出された実施案を採用する。また、その事業実施主体については、工事区分ごとに、実施案の提出会社である3社とする。

FC210万kWまでの増強では不十分と判断

これまでマスタープラン研究会および電力需給検証小委員会において、シナリオ評価に基づき試算が行われ、安定供給・経済性の観点からFC300万kWまでの増強の必要性が確認されてきた。同機関においても、同様の観点からの再評価を行い、広域系統長期方針におけるシナリオ評価の結果、東日本大震災相当の大規模災害発生時の安定供給確保のためには、FC300万kWまでの増強が必要であることを確認している。

既に計画が決定されているFC210万kWまでの増強では、大規模災害の発災後1か月程度の間は節電や計画停電などの需要側対策を実施することが前提である。マスタープラン研究会の報告では、計画停電などの需要側対策は社会的に大きな影響を与え得るため、政策的観点からは必ずしも十分ではないと報告されている。

今回FC300万kWまでの増強をすることで、大規模事故・災害発生時、50Hz地域あるいは60Hz地域それぞれで大規模電源が広域的に停止し供給力が大幅に喪失した際に、東西地域間での電力融通を最大限活用することで被災直後の供給力不足リスクに対応することが可能となる。このことから、稀頻度の大規模災害時における安定供給の確保の観点からFC300万kWまでの増強が必要だと説明している。

代替案との比較

FC増強の代替案として、機動的に対応できること及び固定費の面で有利であることから、50Hz/60Hzのそれぞれのエリアに90万kWのガスタービン発電設備を新設する方策と比較評価を行った。評価を行った結果、経済性の観点からFC増強案に優位性があることを確認した。また、停止中のガスタービン発電設備を含む火力発電は起動に一定時間要するのに対し、FCは瞬時での潮流制御が可能なメリットがあるとしている。

検討開始の経緯

東日本大震災において、東北・東京エリア内の多くの電力設備が被災し、これらのエリアにおいて供給力が不足する事態が発生した。これを受け、国の総合資源エネルギー調査会総合部会電力システム改革専門委員会の下の「地域間連系線等の強化に関するマスタープラン研究会」(2012年2月~4月)において、地域間連系線等の強化に関する議論が行われた。その中間報告書(2012年4月)において、東京中部間連系設備(FC)について、「FC容量については、2020年度を目標に210万kW(90万kW増強)、それ以降、デマンドレスポンスの普及状況等も見つつ、できるだけ早期に300万kWまで増強することとする。なお、費用負担については、先述の基本的な考え方に則り、90万kW増強については、事業者(一般負担)によりなされるものとし、300万kWまでの強化については、政策的な支援を行うこととする」と報告された。

この報告を踏まえ、一般社団法人電力系統利用協議会(ESCJ)では、FC210万kWまでの増強についての対策案が決定され、現在、一般送配電事業者により、具体的な増強に関する実施設計が進められているところである。

上記の経緯の下、2015年4月に開催された電力需給検証小委員会において、FC210万kWから更なる増強(300万kW)の必要性について改めて確認された。これを受けて、同小委員会より電力広域的運営推進機関に対して増強ルートおよび実施時期についての技術的検証の要請がなされた。そこで、同機関は、業務規程に基づき、広域系統整備計画の策定に向けた計画策定プロセスを2015年4月22日に開始した。

広域系統整備計画の検討経緯

同機関は、本計画策定プロセスを開始して以降、増強対策案の具体的な検討を進め、2015年9月30日に広域系統整備の基本要件およびその系統整備の目的に照らした受益者の範囲(基本要件)を決定。その後、2015年10月21日に業務規程に基づき、東京電力(会社分割により、その地位は東京電力パワーグリッドに承継)、中部電力および電源開発に対し、実施案の提出を要請。

同機関は2016年2月29日までにすべての実施案を受領し、2016年5月18日に、費用負担割合の案を費用負担候補者(沖縄電力を除く一般送配電事業者)へ通知した。その後、2016年6月29日にすべての費用負担候補者から費用負担割合の案への同意が得られたことから、今般、業務規程に基づき、今回、広域系統整備計画を取りまとめた。

【参考】
電力広域的運営推進機関 - 東京中部間連系設備に係る広域系統整備計画の策定について

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