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インバランスを発生させすぎる小売電気事業者には制裁措置 経産省が検討開始

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インバランスを発生させすぎる小売電気事業者には制裁措置 経産省が検討開始

経済産業省は、電力需要の計画値と実績に差(インバランス)が生じた場合に、小売電気事業者等が一般送配電事業者に支払う、「インバランス精算」の今後の在り方などについて議論を開始する。

この議論では、計画に沿って本来行うべき電気の調達や販売を怠り、常態的にインバランスを発生させる事業者に対しては、制裁措置を講ずる方針だ。また、卸電力取引所の市場価格よりもインバランス精算単価のほうが低い状況が続く場合などは、計画的な需給管理を行わず、わざとインバランス料金を支払う方が経済合理的になってしまう。こうした状況への対応も検討する。

同省は30日に開催する、電力需給検証小委員会(第16回)および電力基本政策小委員会(第8回)の合同会議で、このほか、FIT送配電買取への移行に伴う課題を解消するための特例制度のあり方や今後の需給検証の進め方等について議論する。

2016年5月に成立した改正FIT法において、FIT電気の買取義務者を小売電気事業者などから送配電事業者に変更した。今後は既存の小売買取と新規の送配電買取とが併存することとなる。このため、小売買取と同様に送配電買取においても、計画値同時同量制度との整合性を図るために、特例制度のあり方について検討する。

また、4月の電力小売りの全面自由化が実施されたことに伴い、電気事業者の類型が見直された。これを受けて、今後の電力需給検証に係る方針(案)では、対象を旧一般電気事業者に限定せず、エリア全体の需給の検証を行う/需給検証の作業の場を広域機関へ移管/広域機関からの検証結果の報告を踏まえ、報告内容の妥当性や電力需給対策方針の審議を電力基本政策小委員会で実施、としている。なお、今夏の電力需給実績は、従来通り旧一般電気事業者を対象として実施する考えだ。

今後のインバランス精算の在り方について

今後、計画値同時同量制度の下においては、計画値不整合に伴う実態と乖離したインバランスは原則として生じず、当初の制度設計通りのインバランス精算が行われることとなる。他方、実際の制度運用においては、各事業者の最終的な計画提出期限(実需給の1時間前)時点で、例外的に計画不整合が残ったままとなる事態も想定され、この場合、一般送配電事業者が計画不整合に伴う需給のズレを調整することとなる。

今回発表された各委員会の資料では、「今後のインバランス精算の在り方」として、以下2つの論点と、3つの今後の検討課題が示されている。

論点1:インバランス精算における例外的な計画不整合の取扱い

インバランス精算における例外的な計画不整合の取扱い

本来、生じるべきでない計画の不整合については、不整合の類型に応じた精算方法を予め定めておくことにより、インバランス精算に際して実態を伴わないインバランスの発生を防止すべきだとした。調達計画と需要計画に不整合があった場合や、発電計画と販売計画に不整合があった場合などの精算方法(案)を提示した。

論点2:いたずらにインバランスを発生させ続ける事業者への対応

徒にインバランスを発生させ続ける事業者への対応

計画に沿って本来行うべき電気の調達や販売を怠り、常態的に、あるいは大量に、計画の不整合やインバランスを発生させる事業者に対しては、広域機関や経済産業省において、制裁措置も視野に入れた厳格な措置を講じるべきだとした。

今後の検討課題1:インバランス精算単価の予見可能性

インバランス精算単価の予見可能性

系統全体の需給において余剰が多かった4月のインバランス精算単価は、卸電力取引所の市場価格よりも低い状況が続いた(全時間帯の約7割)。こうした状況が続くと、インバランス精算単価の水準に対する予見可能性が高まり、計画に沿った調達を行わず、インバランス供給を受けて事後的にインバランス料金を支払う方が経済合理的になる。こうした状況が続く場合にどのような対応があり得るか。

今後の検討課題2:特定地域のインバランス精算単価の予見可能性

特定地域のインバランス精算単価の予見可能性

各地域のインバランス精算単価は、需給調整コストの地域差をインバランス料金に一定程度反映させることとしている。したがって、需給調整コストの地域差が比較的大きい中で、卸電力取引所の市場価格が低めに推移するときや全国大の需給バランスが逼迫していないとき等は、インバランス精算単価と市場価格の大小関係が固定化する可能性がある。

例えば、市場価格よりインバランス精算単価が低い地域では、適切な調達等を行わず、インバランス供給を受けて事後的にインバランス精算を行う方が経済合理的になる。こうした状況が続く場合にどのような対応があり得るか。

今後の検討課題3:FIT特例の取扱い

FIT特例の取扱い

4月のインバランス発生状況を事業者別に比較すると、事業規模が大きいほどインバランス率が低い傾向が見られた一方、FIT特例を利用する場合は、事業規模を問わず、一定程度かつ他の事業者の相場より比較的大きなインバランスを発生させる傾向が見られた。

その要因の1つとして、一般送配電事業者が発電事業者に代わって発電計画を作成するFIT特例(1)の場合は、計画に応じて事業者が市場等で電気を調達する機会を確保する観点から、計画作成が実需給の2日前に行われており、計画作成後の天気予報の変化等を的確に反映できないことがあげられている。これについてどのように考えるか。

新たなインバランス精算制度とは

電力小売りの全面自由化後、発電事業者および小売電気事業者は、30分毎の発電・需要の計画値に対して、30分毎の実績値を一致させる計画値同時同量が求められることとなった。この制度の下、新たなインバランス精算制度が始まった。この制度では、発電事業者および小売電気事業者は、毎日、翌日の発電・需要の計画を、広域機関を通じて一般送配電事業者に提出(当日の需給1時間前までは訂正可能)。これらの計画と実績の差をインバランスといい、インバランス補給を行う一般送配電事業者と、インバランスを発生させた発電事業者および小売電気事業者との間で、事後的に料金精算を行うこととなっている。

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