> > 薄く曲げられる「結晶シリコン太陽電池」 福島大学がインクジェット印刷で作製

薄く曲げられる「結晶シリコン太陽電池」 福島大学がインクジェット印刷で作製

記事を保存

福島大学は5日、インクジェット印刷を用いて精度よく電極の形を描くことにより、新聞紙より薄い厚さ53ミクロンで、太陽光を受ける面に電極のない結晶シリコン太陽電池の開発に成功したと発表した。

薄くすることで安価で軽くなるばかりでなく、裏面電極型の太陽電池としては世界で初めて自立した形で曲げることができ、建築物や携帯機器、自動車などへの幅広い応用が期待される。

変換効率は現時点で10.7%。今後の改良により20%近い変換効率を持った曲げられる結晶シリコン太陽電池の実現も見込まれる。

結晶シリコンも数十ミクロン以下なら曲げられる

従来のフレキシブル太陽電池は、アモルファス(非晶質)シリコンや銅・インジウム・ガリウム・硫黄(CIGS)化合物、有機半導体などの薄膜で作製されてきたが、結晶シリコンに比べて変換効率や安定性、信頼性が劣るという課題があった。

現在太陽光発電用に最も使われている結晶シリコン太陽電池では、通常200ミクロン程度の厚さ(新聞紙の厚さは約60ミクロン)の固いシリコン基板が用いられている。これを薄くすれば、材料の節約によって安く軽くすることができ、さらに数十ミクロン以下の厚さになると曲げることができるようになる。

結晶シリコン太陽電池の中でも、裏面電極型の太陽電池は、光から電力へのパワー変換効率や美観(意匠性)に優れ、配線が容易という特長がある。この電極の形成には精度が必要なため、従来は装置が高価でも半導体の作製と同じ「フォトリソグラフィ」という方法が用いられてきた。しかし、薄い基板では作製中に加わる力によって割れてしまうという問題もあり、それに対処するため、シリコン基板を厚い支持基板に貼付けて強化することが必要だった。

これに対し、今回の研究チームでは、家庭のプリンタと同じ原理で対象物に余計な力を加えないインクジェット印刷を用いて、裏面電極型太陽電池の技術開発を進め、厚さ53ミクロンのフレキシブルな裏面電極型ヘテロ接合シリコン太陽電池を支持基板なしの自立した状態で作製することに成功した。ヘテロ接合シリコン太陽電池は、結晶シリコン基板上にアモルファスシリコン膜のヘテロ接合を形成した太陽電池をいう。

概要図

インクジェット印刷は、非接触で試料に機械的ストレスを与えずにパターンが形成できるばかりでなく、設備コストも非常に安価であることが期待される。これまで太陽電池の作製に用いられたことはほとんどなかったが、福島大学ではこの技術を用いてまず厚さ160ミクロンの裏面電極型ヘテロ接合シリコン太陽電池を作製することに成功し、この成果に対して、2014年に欧州太陽光エネルギー会議(EUPVSEC)で最優秀ポスター賞、2015年には電子情報通信学会のエレクトロニクスソサエティより、レター論文賞を受賞している。

この成果の詳細は、10月19、20日にビッグパレットふくしまで開催される「第5回福島復興再生可能エネルギー産業フェア2016」にて展示する予定。

なお、この研究は文部科学省地域イノベーション戦略支援プログラム「再生可能エネルギー先駆けの地ふくしま」において、国立研究開発法人 産業技術総合研究所の協力を得て実施された。

関連セミナー・イベント情報

関連カテゴリ

プレスリリースを受け付けております

環境ビジネスオンラインでは、皆様からの環境に関する情報をお待ちしています。

新製品・新サービス、研究内容、法令情報、イベント・セミナー、海外の環境ビジネス情報など、お気軽にお寄せ下さい。お送り頂いた内容を、編集部にて拝見いたします。

こちらから、必要事項をご記入ください

Copyright © 2012 日本ビジネス出版. All rights reserved.