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低迷する地方の路線バスも復活させ、省エネも実現する「客貨混載」が表彰

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低迷する地方の路線バスも復活させ、省エネも実現する「客貨混載」が表彰

宮城県を走る「客貨混載」バス

ヤマト運輸(東京都中央区)は12月8日、第13回エコプロダクツ大賞において、路線バスを活用した宅急便輸送「客貨混載」の取り組みが「環境大臣賞」を受賞したと発表した。

「物流」×「地域活性」で三方よしを実現

この事業は2015年6月より、同社と岩手県北自動車(岩手県)が連携し行われているもの。一定量の宅急便を積載するために、座席の一部を荷台スペースとするなどして、トラックで運行していた区間の一部を路線バスに切り替えて輸送する。

同様の「客貨混載」の取り組みは、今では宮崎県や北海道、熊本県で地域のバス事業者と連携して展開されている。

熊本県での事業のフロー

熊本県での事業のフロー

中の様子

中の様子

地域の顧客にとっては、地域のバス路線網が安定的に維持され、安定的に路線バスを利用できるようになった。この事業を通じて、病院やスーパーなど多様な施設へのアクセスが簡易になり、生活基盤の維持・向上が期待されている。

また、ヤマト運輸のセールスドライバーが各地域に滞在できる時間が増え、より地域に密着したサービスができるようになった。さらに、トラックの走行距離も1日約60km削減できるため、環境負荷の低減にも寄与している。

もちろん、バス事業者にとっても、バス路線網の維持につながる新たな収入源の確保につながることが期待されている。

地方の交通機関の課題と最新技術

2016年8月25日に内閣府から発表された白書「地域の経済 2016」によると、自家用車の普及に伴い、路線バスをはじめとする公共交通機関の需要は低迷している。2000年代に入り、京都交通や琉球バス、岩手県北自動車といった老舗のバス会社が、利用者数の減少を背景にした業績の低迷により相次いで倒産している。

また、財政による補てんや補助がなければ維持不可能な路線が増えているのも現状だ。廃止される路線も毎年発生し、その規模は2004年度からの10年間で約10万営業キロ、全路線の2割以上にのぼっている。

近年廃止された乗合バス路線距離(累積)

近年廃止された乗合バス路線距離(累積)

しかし昨今、既存の事業者による効率化や合理化だけでなく、鉄道や路線バスが撤退した地域では、生活に必要な移動手段となる様々な交通サービスが生まれている。

例えば、LRT(次世代路面電車システム)やBRT(バス高速輸送システム)は地域の主要拠点を結ぶ幹線として一部の都市で導入されている。これらのシステムは既存の道路に簡易な設備を設置するだけなので、鉄道に比較して低コストで導入できる。また、専用の軌道やレーンを運行するため路線バスとは異なり、渋滞が起きにくい。

現代版の路面電車、LRT

現代版の路面電車、LRT

他にも、民間事業者が運営し、行政が運営を支援する「コミュニティバス」や、利用者の自宅から病院等の必要先に送迎を行う「デマンド交通」、自家用自動車の空き座席を利用した送迎サービスである「自家用有償旅客運送」など、新たなサービスも誕生している。

移動手段の多様化により、新たなサービスが誕生した事例もある。

例えば、DMV(デュアル・モード・ビークル)鉄道と道路の両方を移動できる乗り物として期待が集まっている。また、自家用有償旅客運送にIT技術を活用したマッチングサービスを組み合わせた「ライドシェア」は、運送サービスが公共の介在なしに提供される。

今後、「客貨混載」を含め交通のあり方がより多様になり、便利になることが期待される。

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