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環境省、ESG投資の解説書「ESG投資に関する基礎的な考え方」を公開

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環境省、ESG投資の解説書「ESG投資に関する基礎的な考え方」を公開

「インベストメント・チェーン」 の枠組み

環境省は1月12日、ESG投資に関する基礎的な理解の向上に資することを目指した解説書「ESG投資に関する基礎的な考え方」を公開した。

中長期的な投資判断の選択肢であるESG投資

ESG投資とは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)に関する情報を考慮した投資のこと。これは、長期投資家が、企業の持続的成長を促す観点から、パリ協定のような長期的なシグナルを考慮し、適切な投資判断を下す投資選択の一つとなり得るとされている。

また、中長期的な企業価値評価においてESG情報等を考慮することは、財務情報だけから企業を分析・評価するよりも多くの情報を考慮した分析等を行えるため、様々なリスクを見極めた投資判断につなげることが可能であるとされている。

解説書を読めばESG投資が理解できる

この解説書は、一昨年10月に同省が立ち上げた「持続可能性を巡る課題を考慮した投資に関する検討会」(ESG検討会)で纏められたもの。同書は、ESG投資に関する基礎的な理解を促す手掛かりを提供することを目的としている。

ここでいう理解とは、(1)「ESG投資の意義」についての理解、(2)「ESG投資の実践に向けた課題」についての理解、(3)「ESG投資の実践に向けた課題に対する取組の方向性」についての理解、の3つである。

具体的には、ESG投資がなぜ注目されているのかといったことや、海外・国内の動向、ESG投資の実践に向けた課題と取組の方向性について、などが記載されている。

以下に、解説書の概要をまとめた。


国内市場でも広がりつつあるESG投資の概念

通常の投資では、時間軸が短いほど直近で得られる「財務情報」が重要となり、時間軸が長いほど財務情報だけでは説明のつかない「非財務情報」が重要になると概ね整理できる。

真の企業のパートナーたる長期投資家にとっては、非財務情報の方が重要だ

真の企業のパートナーたる長期投資家にとっては、非財務情報の方が重要だ

ESG投資には、「中長期的なリスク認識の強化」を通じて、そうした課題解決に向けた取組を長期投資家や企業に促す面もある。実際に、国内の動向においても、ESGの要素が考慮された株価指数についても、取組が進みつつある。

東京証券取引所は、他社との共同指数を複数算出・公表しているほか、日本銀行は2015年12月、政策委員会・金融政策決定会合において、設備・人材投資や、適切な企業統治に積極的に取り組んでいる企業の株式を対象とするETFを買入れることを決定した。

資産保有者に必要となるESG投資の視点

資産(アセット)を保有する者(アセット・オーナー)がESG投資を行う場合、アセット・オーナーと、資産運用を受託する機関(運用受託機関)の対話等が重要となる。

対話がなぜ必要になるかというと、アセット・オーナーが運用受託機関に対し、投資先企業の持続的成長に資する行動実績の定期報告を求めていく必要があるためだ。

これを実施するためには、委託先評価につなげる仕組みを整備したり、アセット・オーナーが自ら能動的にESG課題に関する質問力を高め、効果的なモニタリングを志向することが求められる。

また、これらの実施は、運用受託機関の運用体制やリスク管理体制の高度化等を後押しする極めて重要な取組であるとしている。

資産運用受託機関は、信頼されることが肝

取り扱う情報の性質上、ESGの要素には財務情報に基づく定量分析には馴染まない面もある。

このため、ESG投資は「特殊で分かり難いもの」と映り、「社会を良くすることを目的とした選別投資」と表面的に理解される可能性もある。

今後、ESG投資が、普及等に向けた軌道に着実に乗っていくかどうかは、資産運用業界が、中長期的な企業価値向上の観点から社会や経済の持続可能性にとって有意義な取組等を行っている企業を、どのように評価するかに拠っている面がある。

運用受託機関は、企業のビジネスモデルや企業を取り巻く経営環境の変化、経営戦略等の非財務情報に関する知識や理解力を向上させる必要がある。

それには、運用受託機関が対話等を通じて、企業から、例えば取締役会における経営課題の設定プロセスや取組方針の策定プロセスなど、重要な要素を的確に引き出すプロセスが欠かせない。

そのためには、運用受託機関が、企業から「中長期的なパートナー」として信頼されることが肝要である。

ESG投資で企業が評価されるには部署を超えた連携が必要

ESG投資で求められる非財務情報を評価、発信していくには、特定の部署を超えた様々な関係者の協力が必要となる。

例えば、対話の場において、運用受託機関から「廃棄物処理やリサイクルの体制改善に伴う経済効果の考え方」や「社員の年齢構成の変化が企業活動に及ぼす影響と課題」等の質問を受けた場合、IR部署のみで対応することは困難といえる。

今後、企業価値評価において非財務情報の重要性が高まり、ESGに関する質問事項が増えると予想される中、対話の場にCSR部署等も揃って同席し、『ワンストップ』で説明できるよう態勢面の整備・充実を図ることは望ましい方向といえる。

ESG投資の課題

何が企業の持続的成長や中長期的な企業価値の向上に資するESG情報やESG投資となり得るかについても、十分に理解が深まっているとは言い難い。

欧米に比べると、取組の本格化に向けてまだ日が浅いとも考えられ、今後、市場が健全に育ち成熟していくためにも、インベストメント・チェーンのより多くのプレイヤーが、ESGに関連する知識や知見等を適切に身に付け、実力を備えていくことが期待される。

また、主要プレイヤーには、建設的な関係を築いていく上で、何が不足し、それをどう補い、対話に向けてどのような準備を行えばよいか等を真摯に検討する姿勢が求められる。

ESG投資がもたらす利益とは

ESG投資は、財務情報を踏まえつつ、中長期的な視点から多種多様な情報と企業価値を統合的につなぎ合わせる知的作業を伴う。

そこには、一見すると企業価値と関係がないと思われる情報の中に、持続的成長にとって管理すべきリスクや、必要な経済的利益の源泉を見出すプロセスが含まれる。

地球温暖化問題のような専門性の高いグローバル・イシューとの関連性を読み解く上では、自助努力では補い切れないところを特定し、専門家等と連携強化を図る工夫なども、場合によっては必要と考えられる。

それは、立場の異なる他者とのつながりをもって知恵を産み出すプロセスといえ、ESG投資には、そうしたプロセスを育む要素がある。「つながり」の充実を促すESG投資には、経済の持続的成長力を根元から強化する機能や効果が期待される。

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