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燃料電池(5kW級)の発電効率、65%に到達 東京ガス、新技術3つ導入

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燃料電池(5kW級)の発電効率、65%に到達 東京ガス、新技術3つ導入

投入した燃料をより多く発電に利用する技術の模式図

東京ガス(東京都港区)は5月23日、家庭用や業務用に実用化されている固体酸化物形燃料電池(SOFC)の発電効率をさらに向上させる技術を開発し、世界で初めて5kW級の出力規模にてAC発電効率65%相当を実証したと発表した。

今回開発したSOFCの高効率化技術は、投入した燃料をより多く発電に利用する2つの技術と、少ない未利用燃料において熱自立する技術の、計3つの技術を組み合わせている。

投入した燃料をより多く発電に利用する技術

一般的なSOFCでは、劣化を防ぐために、投入した燃料の20%程度は発電に利用していなかった。本技術では、SOFCスタック(セルを直列積層して結合した構造体)を二段化し、一段目のSOFCスタックの発電後のガスを、一段目より必要とする燃料が少なくてもよい「小さな二段目のSOFCスタックの発電に再利用」する。

これにより全体としては発電に利用する燃料を多くすることが可能となり、発電効率の向上を実現した。同時に、各段では30%の燃料を残すことで、劣化するリスクの低減を図るようにした。

一方、一段目のSOFCスタックの発電後のガスは、未利用の燃料ガスよりも、発電によって生成したH2OとCO2の濃度が高くなっており、そのままでは再利用できる量が限られる。

本技術では、発電後のガスからH2OやCO2を除去してH2とCOの濃度を高める「燃料再生」を行うことで、二段目のSOFCスタックでも一段目と同程度の濃度の燃料ガスを発電に利用することができ、発電効率の向上を可能にした。

少ない未利用燃料において熱自立する技術

ホットボックスの外観写真

ホットボックスの外観写真

高温で作動するSOFCの発電には、ホットボックス(※)を外部から加熱することなく、発電にともなうSOFCスタックの発熱と未利用の燃料ガスの燃焼熱により、必要な高温を維持する「熱自立」が必要である。

※ホットボックス
SOFCスタックや気化器、改質器、熱交換器等の高温で動作する主要部品を断熱材で覆った構成の呼称

投入した燃料をより多く発電に利用すると、未利用燃料が少なくなり、熱自立に利用できる燃焼熱は減少する。

本技術では、ホットボックス内の高温ガスを有効に利用する技術の開発や、ホットボックスを小型化して放熱を減らすことで、SOFCの高効率発電時においても熱自立できるようにした。

今回、同社にてこれらの技術を組み合わせたホットボックスによるSOFCの高効率化の原理実証を行い、世界で初めて5kW級の出力規模にてAC発電効率(顧客が利用できる交流送電端ベースの発電効率)LHV(燃料の燃焼熱に水分の凝縮熱を含めない時の効率値)65%相当を確認した。

燃料電池シンポジウムで発表

今回開発したSOFCの高効率化技術の詳細については、5月25日、26日に開催される第24回「燃料電池シンポジウム」にて発表する。東京ガスは、本技術をベースに、プロトタイプ開発に向けて、本技術をベースにした研究開発をさらに進めていく。

燃料電池は、燃料の化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換することが可能で、燃料電池の中でも特に発電効率が高い固体酸化物形燃料電池(SOFC)は、高効率発電技術として注目されている。家庭用にはコジェネレーションシステム「エネファーム」として実用化されている。

実用化されているSOFCシステムは、化石燃料の中でも炭素成分が少なく環境性が最も高い天然ガスを主成分とする都市ガスを燃料とし、45~60%LHV程度の発電効率を実現している。この発電効率は、現状の分散型電源としては最高効率だが、低炭素社会の実現に向けてさらなる高効率化が望まれている。

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