IHI、火力発電所の燃料アンモニア導入へ LNG受入・貯蔵設備の転用検討

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大型アンモニア受入・貯蔵設備のイメージ図(出所:IHI)
大型アンモニア受入・貯蔵設備のイメージ図(出所:IHI)

IHI(東京都江東区)は1月25日、ガス火力発電所の燃料アンモニア導入に向けて、既存液化天然ガス(LNG)受入・貯蔵設備を燃料アンモニア向けに転用化する検討に着手したと発表した。同社が保有する腐食に関する知見や材料に関する実験技術を利用し、既存LNG受入・貯蔵設備を最小限の改造で転用が可能となるよう検討を進める。2020年代後半の社会実装を目指す。

LNG受入・貯蔵設備は、国内外から船で輸送されてきた液化燃料等を受け入れて貯蔵し、需要に応じて再度ガス化し、パイプラインで発電所等の消費先に送り出す施設で、多くのガス火力発電所近郊で整備されている。

アンモニアは、炭素を含まず、燃焼時にCO2を排出しないことから、石炭火力発電所のみならず、ガス火力発電所においても、脱炭素化における有望な燃料と期待されている。また、既に肥料や化学製品の原料として広く利用されているため、製造・輸送・貯蔵までの一貫した技術が確立されている。

アンモニア燃料の導入にあたっては、受入・貯蔵設備の整備が必要となるが、既存LNG受入・貯蔵設備の転用により大幅なコストダウンや土地の有効活用を実現し、導入促進につながることが期待されるという。 

アンモニアのサプライチェーンの構築を推進

IHIは、火力発電所アンモニアのサプライチェーンの構築を推進向けにボイラやガスタービンなどを製造している。また、国内でLNG受入・貯蔵設備の約3割、LNG貯蔵タンクにおいては約5割の設計・建設実績をもつ。大型貯蔵タンクにおいては、世界最大級の容量となる25万KLタンクの建造実績も有している。これらの技術を生かし、燃料アンモニアの将来の需要増大へ対応するため、アンモニアをボイラやガスタービンの燃料として利用する技術の開発や、貯蔵タンクも含めた大型アンモニア受入基地の総合的な開発を進めている。

たとえば、JERA(東京都中央区)と、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業として、JERAの碧南火力発電所において、アンモニア混焼に向けた実証事業に取り組んでいる。1月18日には、米GE Gas Power(GE)と、GE製大型ガスタービンで100%アンモニア専焼を可能にする燃焼技術の開発で協業すると発表した。

また、2022年12月には、日本郵船、日本シップヤードとともに、洋上浮体式アンモニア受入・貯蔵設備「浮体式アンモニア貯蔵再ガス化設備搭載バージ」について、日本海事協会から基本設計承認を取得している。

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