
3.11 東日本大震災以降、日本において太陽光、風力を始めとしたクリーンエネルギーの促進と、その将来性が注目を浴びている。昨年7月に施行されたFeed-in-Tariff(固定価格買取制度)を追い風に、日本の太陽光市場は、再び世界から脚光を浴びる存在となった。
今年6月、ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスは、日本の太陽光発電システムの年間導入量が、控えめな予測で6.9GW、楽観的な予測で9.4GWに上るという数値を発表した。
控えめな予測による年間導入量ですら、ドイツより4GW、米国より3GW高い。日本の太陽光発電システム市場は、いずれの予測においても、これまで年間導入量において世界のトップに君臨していた中国を追い抜くほど、大きな成長を遂げつつある。
このような情報は日本で生活をしていれば、ある程度は自然と耳に入ってくるだろう。しかし一方で、世界各国のクリーンエネルギー市場でどのような変化が起きているかについては、自ら探しに行かないとなかなか出てこない。
今回で6回目を迎える、ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス・サミット(以下、サミット)は、世界中から800人を超えるエネルギー分野の識者(政府関係者、国際機関、企業トップ、投資家、起業家など)が一堂に集結し、3日間に及び世界各国における課題や今後の展望などを徹底的に話し合う場として広く認識されている。
その規模の大きさ、内容から「エネルギー市場におけるダボス会議」とまで言われている。今回の基調講演では、国連事務総長の潘基文 (パン・ギムン)氏が登場し、気候変動と再生可能エネルギーへの投資に関して講演を行った。
本コラムでは全5回にわたり、サミットにおいて、何が話し合われ、世界の識者がどのような考えなのかを、実際のコメントをピックアップしながら振り返る。コラム初回は第6回を迎えたサミットのメインテーマ「エネルギー市場におけるROI」について取り上げる。
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