電力インフラを支えるパワコンの役割と可能性
先週の記事(「ドイツと比較した日本の太陽光市場課題と克服ポイントとは?」)では、SMAジャパン代表取締役社長の今津氏より、再生可能エネルギー世界展示会特別フォーラムの取材記事を掲載した。その中で、ドイツと比較した日本の太陽光市場の課題と克服ポイントと、パワーコンディショナの可能性についてレポートを掲載した。
本記事では、同社サービスダイレクター兼テクニカルダイレクターの川上氏が「パワコンの機能や今後の可能性、社会背景を見据えた課題点」について再生可能エネルギー世界展示会の特設ステージで講演した内容をレポートでまとめています。フォーラムに参加できなかった方々向けに、当日の講演資料を無料でダウンロード頂けます。こちら、または文末からダウンロードが可能です。
高まる「パワコンの重要性」
FIT価格の下落に伴い、太陽光発電システムの要であるパワーコンディショナ(以下、パワコン)が果たすべき役割は、極めて重要で広範囲にわたっている。パワコンに備わる諸機能を下記の5つにまとめた。
「電力変換機能」
パワコン本来の目的である、太陽光発電の直流電力を交流電力に高効率で変換伝達する機能。
「系統保護機能」
系統異常や発電所で停電などが発生したときに、安全に速やかに系統から解列する機能である。
「系統サポート機能」
系統電圧が低下中でも出力を継続維持するための機能。すべての電源が停止するブラックアウトを避けるために、分散型電源の運転を継続するFRT機能や、電力会社の指示による出力抑制・停止機能をサポートする。
「アクセス機能」
外部からのアクセスで、運転状態や各種データ等のリアルタイム監視さらには出力抑制などの系統サポートに利用する機能
「発電所監視機能」
外部からのアクセスに対し、発電所全体の運転状況、パワコンや各種装置の異常などを監視するもの。
パワコンには太陽電池モジュールと変圧器がつながっているが、直流側では太陽電池モジュールやケーブルの不具合などを、交流側は変圧器や系統異常などを監視することができる。また、川上氏は「太陽光発電所において、パワコンは最もスマートなデバイスであり、パワコンを最大限に使用することが、プラントの安全運転の確実性を増すともいえるのではないでしょうか」とパワコンがもたらす発電所の安全性を語る。