地域新電力の灯を消さないために

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分散型エネルギーの専門家である京都大学大学院経済学研究科教授の諸富徹氏が、日本の分散型エネルギーおよび、地域新電力の現状を紹介するコラム。第三回目は、地域新電力が市場競争に巻き込まれている現状などを紹介し、公平な競争環境を整備するためには何が必要かなどをご提案いただいた。

何のための地域新電力設立か

なぜ自治体は、地域新電力を創ろうとするのか。単に自治体にとって安い電力調達を目指すなら、入札で電力供給業者を競わせるのが望ましい。だが、域外の業者から安く電力供給を受けても、市民の支払う電気代やガス代は結局、域外流出するばかりである。滋賀県湖南市は、こうした域外に流出するエネルギー支出が、地域総生産(GRP)の8.3%に達することを示している。地域でエネルギー供給事業を立ち上げ、域内賦存エネルギー資源(再エネ)を活用し、地元金融機関から資金調達することの意味は、地域付加価値(=利潤+雇用者報酬+税収)の創出にある。これら付加価値が地元に落ちることで、資金の域外流出が止まり、地域を潤すのだ。その価値をどう認識し、説明し、市民が納得して地域新電力を選択できる環境を整備するかが課題だ。

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