政府は2024年3月15日、産業の脱炭素型資源循環システムの構築を目指し、「資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律案」を閣議決定した。今後は、再資源化事業の高度化を目指す。
大量生産・大量消費型からの脱却へ
日本は2018年、循環型社会形成推進基本計画を閣議決定し、環境負荷ができる限り低減される循環型社会の構築に向けて、社会全体で計画的に推進してきた。
一方で、大量生産・大量消費型の社会を前提とした天然資源の消費抑制、循環利用率の向上といった数字上の目標達成を目指すだけでは、天然資源の大量投入の抑制につながらないことがクローズアップされてきた。
近代産業は、大量生産・大量消費型の経済社会活動によって、目覚ましい成長、拡大を遂げてきたが、それにより、大量廃棄型社会を巨大化させてしまった。健全な物質循環に逆行した社会では、さまざまな地球規模の問題が噴出し、気候変動問題、天然資源の枯渇、大規模な資源採取による生物多様性の損失など環境問題に密接に関係している。
「資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律案」の概要
同法案では、脱炭素化と再生資源の質と量の確保などの資源循環の取り組みを一体的に促進するため、基本方針の策定、特に処分量の多い産業廃棄物処分業者の再資源化の実施の状況の報告および公表、再資源化事業などの高度化に関連する認定制度の創設などの措置を講ずる、としている。
資源循環は、ネットゼロのみならず、資源の安定供給の確保や地方創生など社会的課題の解決に貢献でき、あらゆる分野で実現する必要となる。欧州を中心にグローバルでは、再生材の利用を求める動きが拡大しており、対応が遅れれば成長機会を逸失する可能性がある。
こうした状況を踏まえ、日本としても、再生材の質と量の確保を通じて資源循環の産業競争力を強化することが重要であり、資源循環の推進に向けて、製造側が必要とする質と量の再生材が確実に供給されるよう、再資源化の取り組みを高度化し、資源循環産業の発展を目指す。

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