環境用語集 アスベスト(石綿)

アスベストの除去工事・調査には補助金が出る

アスベストとは、天然の鉱石繊維のこと。耐熱・耐火性などの特性をもち、低価格ということもあり、建物の不燃材や断熱材、自動車の部品など3,000種以上の用途で使用されてきた。

細く鋭い繊維をもち、吸い込むと数十年後に肺癌や中皮腫などを発症する危険性がある。施工現場に実際にいなくても、作業者が作業着に石綿を付けて帰宅し、家族が発症する例もあることから「静かな時限爆弾」とも称されている。

アスベストは段階的に使用が規制され、2004年10月から原則使用禁止になったが、現在、大量にアスベストが使われた時代の建物が老朽化を迎え、建物解体時の新たな汚染が懸念されている。

このため、国土交通省では「住宅・建築物安全ストック形成事業」により、多くの自治体がアスベストの分析調査(平均7万円程度)や除去工事に対し補助金を交付している。分析調査への国庫補助は2017年度末まで、除去工事への国庫補助は2020年度末まで予定されている。

建物の所有者が除去工事への補助金を、所有者や施工業者が分析調査に対する補助金に申請できるパターンが多い。なお、2016年度からはアスベストの分析調査には「建築物石綿含有建材調査者」という資格者が必要だ。

アスベストに関する補助金の例

下記に平成28年度(2016年度)における各自治体の補助金について紹介する。

東京都のアスベスト対策の補助金・助成金

東京都江戸川区では、「江戸川区建築物のアスベスト調査費助成金交付制度」として建築物の所有者や解体工事を請け負う事業者などに対し、アスベストを含む疑いのある吹付け材などの調査に対し、当該建築物1棟につき費用の半額(上限10万円)を交付する。

また、アスベスト除去工事に対しては除去工事費用の3分の2(住宅に対しては上限30万円、その他の建築物は上限100万円)を交付する。

愛知県のアスベスト対策の補助金・助成金

愛知県名古屋市では、「名古屋市民間既存建築物吹付けアスベスト対策補助事業」として、分析調査については調査費の全額(上限15万円)、除去等については工事費の3分の2(上限120万円)を補助している。

一宮市では分析調査費用に対し上限25万円まで補助される。

大阪府のアスベスト対策の補助金・助成金

大阪府大阪市ではアスベスト含有調査に調査費の全額(上限25万円)、除去等については工事費の3分の1(戸建て住宅が上限20万円、その他の建物が上限100万円)を補助している。

アスベストの関連号

2007年7月号特集2:
 老朽化建築の補修・改修で問題が顕在化 アスベスト廃棄物の対処法
 現在、記事の全文を左記より閲覧できます。

2006年7月号特集2:
 4法改正で大きく変わるアスベスト処理の今後

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