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最終更新:2026年09月30日

VOC(揮発性有機化合物)

環境ビジネス編集部
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VOC(揮発性有機化合物、Volatile Organic Compounds)とは、大気中に排出または飛散した際に気体となる有機化合物の総称である。塗料、印刷インキ、接着剤、工業用洗浄剤、ガソリンなどに含まれるトルエン、キシレン、酢酸エチルなどが代表物質として知られる。大気中での化学反応により、光化学オキシダント(光化学スモッグの原因物質)や微小粒子状物質(PM2.5)を二次生成する主因となる。

大気汚染防止法におけるVOCの定義と規制の枠組み

大気汚染防止法第2条第4項において、VOCは「大気中に排出され、又は飛散した時に気体である有機化合物」と規定されている。ただし、浮遊粒子状物質(SPM)や光化学オキシダントの生成原因となりにくいメタンやクロロフルオロカーボン等の特定フロンなど8物質は規制の対象外と定められている。

日本におけるVOC排出抑制は、一定規模以上の排出施設に対する法的な排出規制と、事業者の自主的な取り組みを組み合わせた「ベスト・ミックス手法」によって推進されてきた。産業界における固定発生源対策が進んだことで、排出量は基準年度から大幅に削減されたものの、二次生成物である光化学オキシダントの環境基準達成率は依然として極めて低い水準にとどまっている。そのため、日射量が増加する夏季を中心に、現在も継続的な排出抑制が求められている。

夏季のVOC対策として九都県市首脳会議による重点対策や事業者向け設備投資補助が進められるなど、自治体と産業界が連携した自主的削減の強化が図られている。また、燃料蒸発ガス(ガソリンベーパー)の放出防止に向けては、環境省と資源エネルギー庁が回収機能を備えた給油所を認定する「大気環境配慮型SS(e→AS)」制度などの普及策が展開されている。

労働安全衛生法の自律的管理と事業者の実務対応

VOC対策は、大気汚染防止にとどまらず作業現場の労働安全衛生管理とも密接に関係している。2024年4月に全面施行された労働安全衛生法に基づく新たな化学物質管理(自律的な管理)では、トルエンやキシレン、酢酸エチルをはじめとする多くのVOC物質がリスクアセスメント対象物に指定された。

事業場では化学物質管理者の選任が義務化され、リスクアセスメントの結果に基づき、労働者がばく露する濃度を国が定める濃度基準値(ばく露限界)以下に抑える措置が求められる。排気対策の強化によって大気への放出量が増加しないよう、局所排気装置と排ガス処理装置を組み合わせた総合的な管理設計が必須となる。

脱炭素・GXと両立するマテリアルシフトの重要性

従来の末端処理(エンド・オブ・パイプ対策)で多用されてきた蓄熱燃焼式排ガス処理装置(RTO等)は、燃料消費に伴いCO2を排出するため、脱VOCと脱炭素のトレードオフが課題視されている。これを受け、製造プロセスの原料自体を切り替える「マテリアルシフト」が加速している。

具体的には、洗浄工程における水系洗浄剤への転換、塗装工程でのハイソリッド塗料や粉体塗料の採用、印刷分野でのLED-UV硬化システムの導入などが挙げられる。さらに、素材選定の段階から工程見直しを図る動きも広がり、三菱ケミカルのバイオエンジニアリングプラスチック「DURABIO」のように、塗装工程を省略することで製造時のVOC排出を低減する取り組みも実用化されている。

加えて、化管法(PRTR法)に基づく化学物質取扱量の把握だけでなく、TNFDや欧州のCSRDをはじめとするESG開示基準において、大気汚染物質の排出削減は企業の環境マネジメント評価における重要項目として再評価されている。

参考

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環境ビジネスは、温暖化防止のための世界で初めての国際協定である京都議定書が1997年に採択されたことを受けて、その翌年創刊しました。当時、『21世紀は、環境の世紀』といわれ、私たちは、新たな時代の到来はもちろんのこと、新たな産業の息吹を感じ、環境に関するビジネスに役立つメディアを出版することになりました。ウェブマガジン「環境ビジネスオンライン」では、環境業界の注目ニュース・最新トレンド・政策・企業情報解説記事など、実務に役立つ情報・サービスを提供しており、多くの実務層の方々にご参照いただいています。

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