> > 産総研、高いPID耐性を持つCIGS太陽電池モジュールを開発

産総研、高いPID耐性を持つCIGS太陽電池モジュールを開発

記事を保存
産総研、高いPID耐性を持つCIGS太陽電池モジュールを開発

産業技術総合研究所は、18日、太陽電池モジュールの封止材を高分子材料のアイオノマーに替えることで、メガソーラーで起こるPID(電圧誘起出力低下)という劣化現象が起こらない化合物系のCIGS太陽電池モジュールを開発したと発表した。

近年、太陽電池モジュール・システムの出力低下を引き起こすPID現象が問題となっている。今回、産総研では、PIDという劣化現象が、CIGS太陽電池モジュールにおいても起こるかどうかを独自のPID(Potential-induced degradation)試験(AIST法)により検証した。その結果、CIGS太陽電池はシリコン系太陽電池に比べて劣化が大幅に小さく、高いPID耐性をもつことがわかった。出力低下の原因は、太陽電池モジュールの最表面に用いられるガラス基板(カバーガラス)から拡散するナトリウムイオンなどであることを確認した。

その上で、一般的な封止材として用いられているEVA(エチレンと酢酸ビニルの共重合体)をアイオノマー(エチレンとメタクリル酸の共重合体に少量のイオンを導入)に替えることで、長期のPID試験(AIST法)においても劣化が見られない対策モジュールを開発した。

今回の成果は、CIGS太陽電池モジュールのメガソーラーなどへのさらなる導入加速を後押しするものであり、太陽光発電システム全体の導入拡大や長期信頼性向上への貢献が期待される。

標準型モジュール(左)と対策モジュール(右)

標準型モジュール(左)と対策モジュール(右)

本研究では、CIGS太陽電池の標準型モジュールとPID対策モジュールを作製した。標準型モジュールは、カバーガラス(白板ガラス)、封止材のEVAフィルム、CIGSサブモジュール、バックシートを重ね合わせて、真空ラミネートすることにより作製。また、対策モジュールは、封止材にEVAフィルムの替わりにアイオノマーフィルムを用いて、同様にモジュールを作製。アイオノマーは高い体積抵抗率をもつことから、結晶シリコン太陽電池においても封止材に用いるとナトリウムイオンなどの拡散を防ぎ、高いPID耐性を示すことが知られている。

また、PID試験(AIST法)により、両モジュールの太陽電池特性の変化を評価した。標準型モジュールの変換効率は、PID試験14日後に約30%まで低下したのに対して、アイオノマーを用いたPID対策モジュールでは、試験28日後においても劣化は全く起こらなかった。カバーガラスからのナトリウムイオンなどの拡散が、アイオノマーにより抑制されたため、PIDによる出力低下が起きなかったものと考えられる。

PIDは特定の条件下において、太陽電池モジュールに高電圧がかかり、出力が大幅に低下する現象。モジュールやシステムの構成部材の種類、高温、高湿(水)、システム電圧などの条件が影響していると考えられている。

今回行ったPID試験(AIST法)は、実験室で模擬的にPID現象を起こさせるための試験で、一般的なPID試験方法に比べてかなり過酷な試験条件となっている。そのような厳しい条件においてもCIGS太陽電池モジュールは、高いPID耐性を示すことがわかった。産総研では、今後、詳細な検討が必要となるが、仮に屋外設置モジュールや他のPID試験方法で劣化が起きても、今回の結果よりも大幅に小さいと考えられること、加えて、部材の代替などにより対策も十分に可能であると説明している。今後は、より詳細なメカニズムの解明、他のPID試験方法での評価や屋外モジュールとの比較、他の対策技術の検討などを行う予定。

なお、この内容の詳細は、2014年3月17~20日に青山学院大学(神奈川県相模原市)で開催される第61回応用物理学会春季学術講演会で、国立高等専門学校機構 久留米工業高等専門学校と連名で発表される。

【資料】
産総研 - 2014/03/18 産総研、PIDによる劣化が起こらないCIGS太陽電池モジュールを開発

関連セミナー・イベント情報

関連カテゴリ

プレスリリースを受け付けております

環境ビジネスオンラインでは、皆様からの環境に関する情報をお待ちしています。

新製品・新サービス、研究内容、法令情報、イベント・セミナー、海外の環境ビジネス情報など、お気軽にお寄せ下さい。お送り頂いた内容を、編集部にて拝見いたします。

こちらから、必要事項をご記入ください

Copyright © 2012 日本ビジネス出版. All rights reserved.