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最終更新:2026年09月28日

PID

環境ビジネス編集部
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PID(Potential Induced Degradation)とは、太陽光発電システムにおいてモジュールと接地された金属フレームとの間に生じる高電圧の電位差ストレスにより、漏れ電流が発生して発電性能が大幅に低下する現象のこと。

電圧誘起出力低下現象とも呼ばれる。直列接続数の多い大規模な太陽光発電設備で陰極側のモジュールを中心に発生しやすく、放置すると90%近くの出力低下を招く場合もある。

PIDのメカニズムとセル技術の進展

太陽光発電モジュールを直列接続すると、アレイ全体で大きな直流電圧が発生し、接地されたモジュール外枠(フレーム)との間に高電位差が生じる。この電位差に高温や高湿などの外部ストレスが加わることで、ガラスや封止材を介してナトリウムイオンなどの電荷が移動し、セル内に漏れ電流が生じて発電効率が阻害される。

かつてはセルの局所短絡を伴うシャント型(PID-s)が主たる現象とされていたが、研究の進展により、分極現象による分極型(PID-p)、電極などの腐食を伴う腐食型(PID-c)、受光面層間の剥離を引き起こすデラミネーション型(PID-d)など、複数の機構に体系化されている。

近年は発電効率向上やコスト削減のため、直流側の主流電圧が従来の1000Vから1500Vシステムへと移行しており、電位差ストレスは一層高まっている。また、セル構造が従来のP型からN型(TOPConやヘテロ接合など)へと転換したことで、PIDの現れ方にも変化が生じている。N型TOPConセルはシャント型への耐性が高い一方で、表面パッシベーションの劣化を伴う分極型の影響を受けやすい。さらに、地上反射光を取り込む両面発電モジュールの普及に伴い、表面のみならず裏面受光部における耐性確保が重要視されている。

国際規格の体系化と部材対策

かつては太陽電池メーカー各社が独自に耐性試験結果を公表していたが、現在ではIEC規格に基づく試験方法が確立され、認証取得が標準化している。結晶シリコン系モジュールを対象としたIEC TS 62804-1をはじめ、剥離現象を評価するIEC TS 62804-1-1、薄膜系モジュールを対象とするIEC TS 62804-2など、素子特性に応じた評価基準が整備されている。

モジュール部材においては、セルを保護する封止材の改良が大きく貢献している。従来多用されてきたEVA樹脂に加え、水蒸気透過率が低く体積抵抗率に優れるPOE(ポリオレフィンエラストマー)や、EVAと組み合わせたEPE共押出シートの採用が広がり、高電圧・両面発電環境下での長期信頼性確保に寄与している。

現場での診断技術と修復アプローチ

固定価格買取制度(FIT)の初期に建設された高圧・特別高圧のメガソーラーが稼働後10年を超え、経年劣化したプラントでの発症例が顕在化している。PIDは外観目視での判断が難しいため、O&Mの実務ではストリング単位のIVカーブ測定、EL(エレクトロルミネセンス)発光検査、ドローン赤外線カメラによるサーモグラフィー診断などを組み合わせた早期検知体制の構築が定着している。

発生後の対策としては、発電を停止する夜間に逆方向の電圧をストリングへ印加し、移動したイオンを元の位置へ押し戻して出力を回復させる「PID修復装置(リペアボックス)」の導入が有効な延命策として用いられている。また、トランスレスパワーコンディショナ(PCS)の設計段階で負極側の極端な電位低下を防ぐ仮想接地制御や、PCS内蔵の夜間PID抑制機能を選択するなど、設計・運用の両面から総合的な対策が取られている。

参考

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環境ビジネスは、温暖化防止のための世界で初めての国際協定である京都議定書が1997年に採択されたことを受けて、その翌年創刊しました。当時、『21世紀は、環境の世紀』といわれ、私たちは、新たな時代の到来はもちろんのこと、新たな産業の息吹を感じ、環境に関するビジネスに役立つメディアを出版することになりました。ウェブマガジン「環境ビジネスオンライン」では、環境業界の注目ニュース・最新トレンド・政策・企業情報解説記事など、実務に役立つ情報・サービスを提供しており、多くの実務層の方々にご参照いただいています。

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