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2020年風力発電世界市場は5兆円突破、日系企業は部材で存在感 民間調査

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2020年の風力発電の世界市場は、容量ベースで2013年比24.6%増となる48.7GWとなる見通し。金額ベースでは2013年比106.1%の5兆1,337億円となる見通し。富士経済が、16日、風力発電とコンポーネントの世界市場を調査した結果を発表した。

風力発電の世界市場は、米国のPTC(風力発電の発電量に応じて税金を還付する制度)切れに伴う駆け込み需要がみられた2012年の反動もあり、2013年は縮小となるが、2014年以降は堅調に推移し拡大が予測される。

エリア別でみると、米国、欧州、中国の需要が若干の停滞を見せつつあるなか、インド、ブラジル、カナダ、メキシコ、トルコなどで需要が拡大しており、今後もFITの整備された国から風力発電の導入が進むと予想される。日本では、現状の市場規模は小さいものの、FITも追い風に、従来はネックであった系統の整備が進み、大幅な拡大が期待される。

タイプ別には、陸上風力発電は2012年をピークに横ばいから微減で推移すると予測される。一方、地形や建物による影響が少なく、より安定した発電が可能となる洋上風力発電は、着床式では2015年から2020年にかけて欧州が市場をけん引し、2020年以降はアジアや米国での施策が市場を大きく左右するとみられる。

浮体式は実証段階にあり、実証規模も徐々に大型化している。2020年までは国家プロジェクトで技術検証が行われ、2020年以降着床式の設置余地が不足したエリアから実用機の導入が想定される。

2020年の主要コンポーネント市場(外部調達分のみを対象)は、金額ベースで、2013年比103.1%の2兆8,419億円となる見込み。風車の大型化による導入基数の減少や風力発電機メーカーの内製率の上昇、ギアレス設計による歯車や軸受機器の需要減少などにより、拡大は風力発電市場より緩やかになるとみられる。コンポーネントの世界市場では日系メーカーが健闘している。

その他、調査結果の概要は以下の通り。なお、主要・注目コンポーネント市場は金額ベースのため外部調達分のみを対象としている。

■風力発電市場

容量:2013年見込 39.1GW/2020年予測 48.7GW(2013年比124.6%)
金額:2013年見込 4兆8,390億円/2020年予測 5兆1,337億円(2013年比106.1%)

エリア別にみると、日本では、太陽光発電の適地が限られることから風力発電への期待が大きい。特に洋上風力発電は2013年に実証が相次ぎ、2014年にはFITが36円に設定されるなど立ち上がりに期待が高まっており、2016年頃より市場が本格化すると予想される。また、陸上風力発電においてもFITによる需要の顕在化が予想される。

米国は、今後もPTCの継続が不透明であることや、シェールガスによる割安なエネルギーの確保により長期的に市場は低迷すると予想される。欧州では、陸上の適地が少なくなってきており、新たに洋上が期待されている。洋上風力発電ではイギリスに続いてドイツの市場が立ち上がっており、2020年ごろにピークを迎えると予想される。一方、陸上風力発電は2 015年をピークに縮小が予想される。

中国では、これまで系統連系や稼働率が軽視されていたが、2011年より系統連系可能なプロジェクトに対してのみ政府が許可を出す方針に転換したことから市場が停滞している。対応は徐々に進んでおり、2013年には拡大に転じ、今後も産業振興、エネルギー自給率向上の観点から拡大が予想される。

■主要コンポーネント市場

2013年見込:2兆7,570億円/2020年予測:2兆8,419億円(2013年比103.1%)

風力発電機は発電機などを収納するナセル、ブレード・軸受・ハブを組み合わせたロータ、ナセルを支持するタワーで構成される。ナセルやロータは風力発電機メーカーの内製であるが、ナセル内のコンポーネントである発電機、コンバータ、軸受などは外部調達も多く、素材も含め日系メーカーが世界市場の中で健闘している。

ブレードやタワーは素材も含め海外メーカーが強いが、近年では風車の大型化の流れを受け、軽量化や故障率低減に向けた採用部材の切り替えが積極的に検討されている。ブレードに炭素繊維が採用されたことで日系メーカーの存在感が増すなど、切り替えを契機に既存のサプライチェーンに割り込むことも期待される。

■注目コンポーネント市場

ブレード市場:2013年見込:6,300億円/2020年予測:6,200億円
誘導発電機:2013年見込 970億円/2020年予測 817億円
同期発電機:2013年見込 710億円/2020年予測 1,130億円
軸受市場:2013年見込 1,910億円/2020年予測 1,844億円

ブレードは風力発電機メーカーの内製率が約4割(数量ベース)と高い。風車の大型化と共に内製率を更に高める動きがあることから今後の市場は縮小が予測されるが、大型化や炭素繊維の採用などにより単価は上昇するとみられる。

発電機は誘導発電機と同期発電機に分かれる。内製率は数量ベースで2割程度。現在の主流は誘導発電機であるが、同期発電機は簡単な構造で信頼性が高く、出力力率の調整が可能で系統への影響がないことから、一台当たりの単価が高いものの導入が増加している。同期発電機は大手風力発電機メーカーも採用を始めており、今後の市場拡大が予測される。

軸受は新設風力発電の主軸用、増速機用、発電機用、旋回座用を対象とする。外部調達率は10割に近い。軸受は風車故障の要因となることが多く、1基あたりの採用数量が減少している。しかし、洋上風力発電市場の拡大により長寿命性が重視され、風車の大型化とともに軸受も大型になることから、金額ベースでの縮小はある程度抑えられると予想される。ジェイテクト、NTN、日本精工などは高い製造品質を武器としており、風力発電のコンポーネント市場の中でも、日系メーカーが特に健闘している。

本調査は、富士経済専門調査員による業界関係者への直接面接取材と公開データによる文献調査により、2013年8月~2014年1月に実施した。

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