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リチウムイオン電池材料の世界市場、2018年には13年比63.8%増に 民間調べ

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富士経済は、リチウムイオン二次電池材料の世界市場を調査した結果を発表した。2018年の同市場は、2013年(5,670億円)比63.8%増の9,285億円となる見通し。

リチウムイオン二次電池材料市場は拡大しているが、車載用電池での強いコストダウン要求や、大型設備投資をしたものの電気自動車の需要が想定を下回り工場の稼働率維持のために利益率を圧縮してでも受注獲得を進めたこと、さらには東日本大震災によるサプライチェーンの混乱で海外製材料への抵抗が薄れ価格の安い海外製材料との競合が強まったことなど、複数の要因により2012年、2013年にかけて材料単価が下落した。

スマートフォンやタブレット端末の登場により、高容量のリチウムイオン二次電池が求められている。電池の高容量化を可能とするハイエンド材料では、中国メーカーや韓国メーカーの追随が著しいものの、日本メーカーの優位性はまだ高い。一方、ミドルレンジ・ローエンド材料は中国メーカーや韓国メーカーが強く、特に、日本電池メーカーの生産拠点の中国シフトや韓国電池メーカーの実績拡大を受けて中国メーカーの成長が著しい。

市場のボリュームゾーンを押さえ生産量の拡大が続く中国メーカーや韓国メーカー、ハイエンド材料を開発し続けることで両者の追随をかわす日本メーカーといった構図となっている。

リチウムイオン二次電池材料は正極活物質、負極活物質、電解液、セパレータが主要材料といわれる。この主要材料についての調査結果の概要は以下の通り。

正極活物質

2013年:2,128億円、2018年予測:3,524億円、13年比165.6%

正極活物質では、コバルト酸リチウム、三元系(ニッケル・マンガン・コバルト)、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム(ニッケル・コバルト・アルミ)、リン酸鉄リチウムなどが材料として使用される。

電池の高容量化のため活物質の使用量を増やすことは電池体積や重量の増加につながるため、小型民生用では高電圧で充電してコバルト酸リチウムの利用深度を高める方法がトレンドとなっている。

なお、三元系は車載用にも採用されている。高コストであるため、大容量電池を使用するEV向けではマンガン酸リチウムに混ぜるケースが多く、電池容量の比較的少ないHV向けでは単体で使用されることが多い。また、航続距離が内燃車と比較して短いEVの電池容量を増やすべきという考えも強く、マンガン酸リチウムよりも高容量で航続距離を伸ばせるニッケル酸リチウムを採用する車種もある。

現在EV向けの主流であるマンガン酸リチウムは、三元系やニッケル酸リチウムと比べ容量が小さく、高温下では電解液中にマンガンイオンが溶け出し電池の劣化につながるため、高温下でも安定するコバルトを含むニッケル酸リチウムや三元系と混ぜて使用される。マンガンの相場がコバルトやニッケルに比べ低いことから、量産によるスケールメリットを享受しやすい材料である。

また、今後、所得水準の低い新興国で、内燃車の代替として電動自動車を幅広い層に普及させるには、コストが抑えられるマンガン酸リチウムを中心に使うのが合理的との考え方もある。そのため、性能ではニッケル酸リチウムや三元系が優れており今後も構成比が拡大するとみられるが、中期的には一定数の車種でマンガン酸リチウムの使用が続くとみられる。

中国ではノウハウが蓄積されているリン酸鉄リチウムが車載用でも主流である。また、過充電による高温下でも酸素が放出されず電解液が燃えにくく、長寿命であることから、耐久性が必要な車載用での採用拡大も期待される。

負極活物質

2013年:673億円、2018年予測:1,120億円、13年比166.4%

主に炭素系物質が使用されており、結晶質系炭素の黒鉛(グラファイト)、非晶質系炭素のハードカーボンとソフトカーボンなどがある。

車載用ではHVで体積変化が小さく変質しにくい非晶質系炭素が使用されることが多く、ソフトカーボンをラインアップに加える動きも目立っている。また、航続距離を伸ばす目的で容量の大きいシリコン系(SiOやSi)が検討されている。しかし、小型民生用と異なり10年以上の寿命が求められる車載用では充放電による膨張・収縮で寿命が短くなるシリコン系には課題も多く、メーカーが開発に努めている。

電解液

2013年:687億円、2018年予測:1,270億円、13年比184.9%

電解質塩と有機溶媒、添加剤を混合したもので、添加剤で機能を付加し差別化を図っている。有機溶媒を使用する特性上、電解液の発火リスクはなくならない。難燃化や電池の高容量化に向けた取り組みが進められている。なお、高機能な電解液を展開でも日本メーカーが目立っている。

セパレータ

2013年:1,063億円、2018年予測:1,740億円、13年比163.7%

正極と負極を電気的に絶縁し、電解液を担持する役割をもつ。現在の主流はポリオレフィン微多孔膜であり、製法により湿式法・乾式法に分けられる。リチウムイオン二次電池の発火などのトラブルもあり、セーフティーネットであるセパレータの重要性は高まっている。

電解液同様、セパレータでも高電圧化対応が進んでおり、コーティングすることで耐熱性や耐酸化性などを高めたセパレータが増えている。コーティング技術はPolypore(米国)やSK Innovation(韓国)のほか、日本メーカーが得意とする分野である。

セパレータの国産化が遅れていた中国だが、2013年に韓国電池メーカーの車載用や電力貯蔵など大型電池向けで採用が始まり、大きなインパクトを与えた。

なお、本調査の期間は2013年12月~2014年5月。富士経済専門調査員による参入企業及び関連企業・団体などへのヒアリング及び関連文献調査、社内データベースを併用して実施した。

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