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宇久島の100MW風力発電、環境アセスで50機中46機が引っかかる

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環境省は、16日、長崎県の離島において実施予定の「宇久島風力発電事業」(最大総出力100MW)に係る環境影響評価準備書に対して、騒音や景観等の問題から50基中46基について配置の変更又は設置の取りやめを求める、環境大臣意見を経済産業大臣に提出した。

本事業は、グリーンパワー及び風力開発が、長崎県佐世保市宇久町(宇久島、寺島)において、新たに最大総出力100MW(2,000kW×50基)の風力発電所を設置するものである。

環境大臣意見では、騒音や風車の影による近隣住民の生活環境、動植物への影響が懸念される風力発電設備及び取付道路については配置の変更又は設置の取りやめにより、また、景観への影響が懸念される風力発電設備については設置の取りやめにより、影響を回避又は極力低減することを求めた。

本事業の対象事業実施区域には、ミサゴやハヤブサの繁殖地やハチクマ等の渡りのルート、希少な草原性チョウ類の生息環境、ヒゴタイやノヒメユリ等の希少な草本類の生育環境が存在する。また、対象事業実施区域の周辺は、西海国立公園に指定されている。

そこで、事業実施に当たっては、自然環境や景観の保全と再生可能エネルギーの利活用を調和させ、地域資源を損なうことなく、島の活性化に寄与するものにすべきであるが、本準備書では、騒音及び風車の影による近隣住居の生活環境や主要な眺望点からの景観に対する影響等への配慮について不十分な点が随所に見られると指摘。このため、必要な措置を講ずるとともに、事後調査を適切に実施し、それらの検討経緯及び内容については、評価書に記載することを求めた。

また、小値賀町にある旧野首教会堂が、世界遺産暫定リストの「長崎の教会群とキリスト教関連資産」の構成資産であることを踏まえ、地元自治体と十分調整を行い、適切な環境保全措置を講ずることも求めた。措置を講ずることを求めた風力発電設備の概要は以下の通り。

  対象となる風力発電設備 (1)総論として講ずる措置 (2)(1)の措置を講じた上で講ずる措置
騒音 静穏な環境を要する夜間において近隣住居への影響が懸念される、4、5、8~12、15~21、26~30、32、33、36~50号機 配置の変更又は設置の取りやめ 低騒音型の風力発電設備の採用等の環境保全措置を講ずること。また、事後調査を実施し、稼働時間の調整等の追加的な環境保全措置を講ずること。
風車の影 風車の影による近隣住居への影響が懸念される、5、6、9、10、17、41~43、46、47号機 配置の変更又は設置の取りやめ 事後調査を実施し、稼働時間の調整等の追加的な環境保全措置を講ずること。
動植物 ミサゴやハヤブサの繁殖地や希少な草本類の生息・生育環境となっている崖地や草原等に設置する1、2、6、21、29~31、35~37、39~41号機及び取付道路 配置の変更又は設置の取りやめ これまで実施した調査結果及び専門家等からの助言を踏まえて、工事期間中の環境モニタリング(営巣木確認)及び供用後の事後調査を実施すること等。
景観 対象事業実施区域に隣接する西海国立公園内の主要な眺望点である「城ヶ岳展望所」等から見た本国立公園方向の垂直見込角が5度を超える4、5、7~11、13、14、16~21、24~28 号機 設置の取りやめ できる限り垂直見込角を小さくするための配置の変更や機種の選定、又は、風力発電設備の基数削減を行うこと。
「城ヶ岳展望所」からの俯瞰景において、俯角が最も目に付きやすい領域である-8~-10度を越える位置よりも手前で視点に近い領域となる24~27号機 設置の取りやめ 配置の変更又は風力発電設備の基数削減を行うこと。
    この他、灰白色にすることとしている風力発電設備の色彩の選定に際しては自然景観等を勘案して、個別に検討し、景観への影響を極力低減すること。

環境影響評価準備書に対する環境大臣意見の提出について

環境影響評価法及び電気事業法は、出力10,000kW以上の風力発電所の設置又は変更の工事を対象事業としており、環境大臣は、事業者から提出された環境影響評価準備書について、経済産業大臣からの照会に対して経済産業大臣に意見を言うことができるとされている。

環境影響評価準備書は、環境影響評価の結果について環境の保全の見地からの意見を聴くための準備として、調査、予測及び評価、環境保全対策の検討を実施した結果等を示し、環境の保全に関する事業者自らの考え方を取りまとめた文書をいう。

【参考】
環境省 - 宇久島風力発電事業に係る環境影響評価準備書に対する環境大臣意見の提出について

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