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FIT、出力制御の新ルール「バンキング」と「ボローイング」案が示される

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経済産業省は、19日、固定価格買取制度(FIT)等の見直しについて検討を行っている第10回の新エネルギー小委員会を開催した。

本委員会では、新しく導入された「出力制御の運用ルール」や「太陽光発電の接続可能量に変化が生じ得る場合の取扱い」等について議論した。指定ルールで接続する事業者に対して30日等の出力制御の上限を超えて出力制御を行う場合に、バンキング(出力制御の未実施分の繰り越し)やボローイング(出力制御の事後的な調整)を実施する案も提示された。

出力制御の運用ルールについて

再エネ特措法と、同法の施行規則に基づく出力制御の公平性を確保するため、出力制御に関する運用指針案や、電力会社が公表する出力制御の見通しのルール案、電力会社が出力制御を行った場合に再エネ発電事業者に示す内容などが示された。

また、指定電気事業者制度の下で、指定ルールで接続する事業者に対して年間30日、360時間または720時間を超えて出力制御を行う場合には、公平性の観点から、30日等の出力制御の上限がある発電事業者には可能な限り上限まで出力制御する必要がある。

電気事業者は需要や天気等の予測を行って出力制御を行うものの、実運用では予測誤差を見込んで出力制御を行うため、安全サイドで運用すれば、30日等の出力制御の上限がある発電事業者の出力制御量を一定程度残しておくことが想定される。その際、上限まで出力制御を使い切ることができなかった場合には、結果として出力制御の上限のない指定ルールで接続する発電事業者の出力制御が増加することが想定される。

このため、指定ルールで接続する事業者に対して30日等の出力制御の上限を超えて出力制御を行う場合に、

  1. 予測誤差を見込んで運用し、結果として上限まで出力制御を使い切ることができず、その分、指定ルールで接続する発電事業者の出力制御がある程度増加したとしても公平性に反するとまでは言えないのではないか。他方、上限まで使い切るよう最大限取り組むための仕組みをつくることはできないか。
  2. 出力制御の上限を有効に活用する観点から、現行制度の範囲で、国や発電事業者団体による周知などによって、発電事業者の理解を前提として、出力制御のバンキングやボローイングが行えるようにしてはどうか。

の意見が提示された。また、バンキング・ボローイングを実施した場合の論点・課題も提示された。

バンキング(出力制御の未実施分の繰り越し)

年間30日(旧ルール)、360時間(新ルール・太陽光)、720時間(新ルール・風力)の出力制御量の年間上限について、当該年度において、上限まで出力制御を行わなかった場合には、翌年度に繰り越しする(翌年度に出力制御を「積み立てる」)ことを可能とする。

  • 当初は出力制御が少なく、全事業者が出力制御を繰り越すこととなるため、運用開始時には全事業者に追加的な出力制御という不利益を与えることとなる。
  • 売電収入の減少が後年度になると考えれば、再生可能エネルギー発電事業者の資金繰りには影響を与えにくい。

ボローイング(出力制御の事後的な調整)

年間30日(旧ルール)、360時間(新ルール・太陽光)、720時間(新ルール・風力)の出力制御の年間上限について、当該年度において、上限を超えて出力制御を行った場合には、その分、翌年度の出力制御の上限を減らす(翌年度から出力制御を「借りる」)ことを可能とする。

  • 翌年度の出力制御を「借りた」場合にのみ、「借りた」出力制御量を管理すればよいため、電気事業者が管理する事業者数は大きく減る。
  • 売電収入の減少が前倒しになるため、再生可能エネルギー発電事業者の資金繰りに影響を与えうる。

太陽光発電の接続可能量に変化が生じ得る場合

太陽光発電の接続可能量の見直しについて、今後検討を進めるために議論するべき論点が示された。考慮すべき要素として、「需要(増加する可能性もあれば、減少する可能性もある)の変化」「電源構成の変化」「再生可能エネルギーの広域的な系統利用に係る制度見直しの効果」「電源の性質を踏まえた電源の代替性」「従来より取り組んでいる認定取消しや空押さえ案件への対応」があげられた。

「地熱、水力、バイオマス発電を優先するよう考慮するべきではないか。その際、同じ自然変動電源である太陽光と風力発電の間の優先関係はどのように評価するべきか」「接続可能量の見直しは、例えば、概ね1年に1回程度、定期的に行う形で行うこととするべきではないか」などの意見も盛り込まれている。

また、太陽光発電の接続可能量に増加分が生じた場合の活用方法について論点も示された。

指定電気事業者制度では、電源ごとに設定される接続可能量を超えて系統に接続することとなる場合には、通常の場合においては年間360時間(太陽光)又は720時間(風力)として設定されている上限を超えて出力制御の対象となることを受け入れることを前提として、系統への接続を認めることとしている。

太陽光発電の接続可能量については、「接続保留問題」に迅速に対応するために、現行制度(電気事業制度や広域融通に係る制度等)や直近の需要、設備等を前提として算定を行った。現時点においては、この接続可能量を用いて、制度の運用を行っているが、今後、接続可能量の算定の際に用いた前提や、既に接続枠を確保している事業者の事業断念等の事情変化が生じた場合に、指定電気事業者制度の適用地域における太陽光発電の接続可能量をどのような点を考慮して見直し、また、どのような考え方の下で再生可能エネルギーの導入を進めていくべきかを検討する必要がある。

再エネ各電源の導入の動向とコスト等についても議論

本員会では、「再生可能エネルギー各電源の導入の動向とコスト等」と19日に発表された「平成27年度調達価格・賦課金単価」についても議論した。

資料としては、3月10日の長期エネルギー需給見通し小委員会に示された再生可能エネルギーに関する「各電源の導入の動向」、「導入に伴う系統安定化費用の考え方」、「各電源の導入の考え方」、3月3日の発電コスト検証ワーキンググループに示された「再生可能エネルギー・コージェネレーションシステム・燃料電池の発電コストの考え方」が提示された。

その他、電力システム改革小委員会制度設計ワーキンググループにおけるこれまでの関連する議論の結果をまとめた資料「広域的運営推進機関と国によるチェックの仕組み~再生可能エネルギーの出力抑制に係るチェックの仕組み~」等が示された。


【参考】

経産省 - 総合資源エネルギー調査会 新エネルギー小委員会(第10回)配布資料

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