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電力自由化後もFIT以上の利益を 慶大の「分散型電力価格決定メカニズム」

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電力自由化後もFIT以上の利益を 慶大の「分散型電力価格決定メカニズム」

慶応大学は24日、電力自由化後の電力市場で、時間や需給状況の変化に合わせて電力価格を変化させる制度を用いることで、電力市場参加者の利益を保証する分散型電力価格決定メカニズムを考案したと発表した。

なお、本成果は、JST(科学技術振興機構)戦略的創造研究推進事業において得られた。

求められる「2つの課題」を解決する電力価格決定メカニズム

電力ネットワークを安定して運用するためには、各時刻で電力需給量を一致させ、系統内の周波数変動を抑制する必要がある。しかし2016年に家庭向け電力小売自由化、2018~2020年に発送電分離が予定されている。電力自由化後の電力市場では、電力需要家および電力供給者は、市場管理者より提示された電力価格をもとに自身の電力需要量や発電量の決定をそれぞれ利己的に行うようになると考えられる。そのため、このような市場参加者の利己的な振る舞いを電力需給のバランスを考慮した振る舞いへと誘導するような電力価格決定メカニズムの考案が求められている。

一方で従来の電力価格を変化させるプライシング(価格設定)制度では、電力市場取引に参加した市場参加者の金銭的利益が、固定買取価格制度の利益を上回ること(個人合理性)が保証されておらず、金銭的に損をする可能性があった。このような金銭的な損失は人々が電力市場取引へと参加する意欲を妨げるものであり、次世代電力ネットワークの実現に向けて解決すべき課題となっていた。

分散型電力ネットワークで注目、リアルタイムプライシング

再生可能エネルギーなどの分散型電源が大量導入された次世代電力ネットワークでは、発電量の変動が大きいため、ネットワーク全体を集中管理することが難しく、発電機を含めた電力ネットワークを分散的に管理することが求められている。

その中でも、細かい時間単位で電力価格を変動させる「リアルタイムプライシング」を用いて電力需給量を間接的に制御する取り組みは、電力システムや制御理論といった工学の観点からだけでなく、経済学の観点からも非常に多くの注目を集めている。

分散型電力価格決定メカニズムの内容

本研究が対象とする電力市場およびその市場取引の概念図は記事上部の図のとおり。この市場には市場参加者として電力供給者および電力需要家、また市場管理者としてISOが存在する。このうち、電力供給者および電力需要家はISOより与えられる電力価格に基づいて自身の発電量または電力需要量を利己的に決定し、一方でISOは他の電力ネットワークからの電力潮流を考慮しながら自身のネットワーク内の電力需給偏差を解消するように電力価格およびインセンティブの更新を行う。

本研究は、ゲーム理論のアプローチを用いて、この電力市場で、以下の2つの目標を同時に達成する分散型電力価格決定メカニズムを考案したものである。本メカニズムは、電力自由化に対応した安定な電力ネットワークの経済・制御モデルの構築に役立つことが期待される。

1.小規模電力ネットワークにおける周波数変動の抑制および電力需給均衡の達成

利己的な市場参加者の電力消費および発電行動を、系統周波数の安定化を考慮した公共利益の最大化へと誘導するような電力価格の決定を分散的に行うもの。 これは、電力ネットワーク内の周波数変動の抑制と需給均衡の一致を同時に達成する分散型電力価格決定メカニズムとなっている。

2.変動型インセンティブを用いた市場参加者の個人合理性の保証

1の特徴に加え、リアルタイムプライシング制度を用いて、電力市場参加者の利益を保証する分散型電力価格決定メカニズムを考案した。

具体的には、電力価格と同様に時間や状況に応じた金銭的なインセンティブをISOが各市場参加者にリアルタイムで付与することで、電力需要家および供給者双方の個人合理性を保証するものである。


本メカニズムを適用した場合、周波数変動の抑制や電力の需給均衡達成のために大幅な電力価格の更新を行っても、電力需要家および供給者の両市場参加者とも従来の固定価格買取制度のもとで得られる以上の利益が保証されている。

本研究では、本メカニズムの有効性の検証を数値シミュレーションにより行い、電力価格およびインセンティブの設計に関する定理の妥当性を確認している。

今後の展開

今後は、ISOが市場参加者へ支払うインセンティブのコストを考慮したアルゴリズムの検討を行う。さらに、市場参加者と市場管理者との間の情報交換を行うため、その実現には高い情報通信技術が必要となる。そのため、アルゴリズムの高速化および計算量を低減するアルゴリズムの開発を考えている。

【参考】
慶應義塾大学 - 分散型電力価格決定の基本メカニズムを考案

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