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再利用する鉄鋼スラグは「廃棄物」 群馬県、廃棄物処理法違反で告発

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再利用する鉄鋼スラグは「廃棄物」 群馬県、廃棄物処理法違反で告発

群馬県は、大同特殊鋼渋川工場(群馬県渋川市)の製鋼過程で副産物として排出された鉄鋼スラグが建設資材として出荷されていた件で、総合的に勘案し、この鉄鋼スラグを廃棄物と認定した。

同社の鉄鋼スラグは、2002年4月から2014年1月までの間、関係者の間で逆有償取引が行われていた。逆有償取引とは、販売代金より多い費用を管理費・処理費等の名目で支払うものである。

また、この鉄鋼スラグは土壌と接する方法で使用した場合、ふっ素による土壌汚染の可能性があった。同期間に出荷された鉄鋼スラグの総量は29万4,330トン。公共工事225カ所で使用され、このうち54カ所で土壌汚染が確認されている。

同県は11日、本件について、廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)に基づき調査を行った結果を発表した。また同県は大同特殊および連結子会社の大同エコメット(愛知県東海市)、佐藤建設工業(群馬県渋川市)の3社を廃棄物処理法違反の疑いで県警察本部に告発した。

なお、大同特殊鋼は11日、渋川工場と大同エコメット等にて、廃棄物処理法違反容疑として群馬県警による捜索差押えが行われたことを公表。今後もこの鉄鋼スラグによる路盤材が使用された場所の特定や対応工事への協力を通じて会社としての責任を果たす考えを示している。

群馬県による調査結果の概要は以下のとおり。

調査した結果(経緯)

  1. 大同特殊鋼渋川工場は、工場が操業を開始した2000年頃から、副産物である鉄鋼スラグを土地造成材等として再利用してきたが、当時の関係資料が存在せず解明は困難(廃棄物処理法の施行は1976年)。
  2. 2001年にふっ素の土壌環境基準が設定され、2003年にふっ素の溶出量および含有量に係る指定基準を設定した土壌汚染対策法が施行された。
  3. 2002年4月~2009年6月、大同特殊鋼は、大同原料サービス(2006年に大同エコメットに社名を変更)とスラグの委託加工、売買に関する契約を締結した(逆有償:1トン当たり10円)。
  4. 2009年7月~2012年6月、大同特殊鋼は、大同エコメットおよび佐藤建設工業との3者でスラグ混合再生路盤材の製造・販売等に関する契約を締結した(逆有償:1トン当たり10円で買取り、エージング処理後、佐藤建設工業に1トン当たり100円で売却)。
  5. 2012年7月以降、大同特殊鋼は、大同エコメットとスラグ処理業務およびスラグ混合路盤材等製造に関する委託契約を、佐藤建設工業とスラグ混合路盤材の販売に関する契約を、それぞれ締結した(契約形態を変えただけで、内容は同じ)。
  6. 2014年1月28日以降、これらの契約に基づくスラグ混合路盤材の製造・販売は行われていない。
  7. ふっ素の土壌環境基準等が設定されて以降、同工場から製鋼過程の副産物として排出された鉄鋼スラグは、土壌と接する方法で使用した場合、ふっ素による土壌汚染の可能性があり、また、2002年4月から2014年1月までの間、関係者の間で逆有償取引等が行われていたことなどから、当該スラグは、その物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無及び占有者の意思等を総合的に勘案し、廃棄物と認定される。
  8. スラグ再生路盤材等を購入した建設業者は、当該スラグの性状等を知らされておらず、有責性は認められない。
  9. 記録が確認できた2002年11月から出荷を停止した2014年1月までの間、同工場から出荷された鉄鋼スラグの総量は、29万4,330トンである。

鉄鋼スラグの使用箇所の解明、環境への影響調査

  1. これまで同工場から排出された鉄鋼スラグの使用が確認された工事は、公共工事で225カ所。
  2. 環境影響については、工事実施主体が、使用したスラグ再生路盤材の品質規格証明書によって、同証明書がない場合については施工現場におけるスラグ再生路盤材や土壌の検査によって確認し、土壌汚染が確認された場合には、県が直接周辺地下水の調査を実施し、確認をしてきている。これまでの調査の結果では、地下水への影響は認められない。
  3. 今後とも鉄鋼スラグの使用箇所の解明を進める。公共工事については工事実施主体に調査を要請、民間工事については大同特殊鋼に対し、調査及び県への報告を指示する。
  4. 新たに使用箇所が判明した場合は、これまでと同様の方法で環境調査を行い、その結果を速やかに公表する。
  5. 判明した使用箇所はすべて県がリスト化し、今後も継続して、地下水の常時監視の中で、環境への影響について監視を行っていく。

現在、ふっ素の土壌環境基準や土壌汚染対策法により、路盤材など土壌と接する方法で鉄鋼スラグを使用する場合、周辺土壌や地下水を汚染しないよう、土壌環境基準等と同等の基準を満たすことが求められている。

このため、鉄鋼業界では、ふっ化物(蛍石)を使用しない操業への移行や、鉄鋼スラグに含まれる有害物質の検査を行い、環境安全性を確認して路盤材等に再生利用する方法がとられてきた。

【参考】
群馬県 - 大同特殊鋼渋川工場から排出された鉄鋼スラグに関する廃棄物処理法に基づく調査結果

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