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小規模な木質バイオマス利用、水素化する新技術で発電効率アップする実証実験

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小規模な木質バイオマス利用、水素化する新技術で発電効率アップする実証実験

北海道電力は5日、ほくでんグループの北電総合設計(札幌市)とともに、地域に根ざした再生可能エネルギーの導入拡大に向けて、2016年度から倶知安町において、水素を活用した新たな技術の開発を目指す「小規模木質バイオマス発電実証事業」に取り組むと発表した。

木質バイオマスのガス化(水素製造)、燃料電池発電、熱回収を組み合わせることで、高効率の発電システムを構築し、地域密着型の小規模木質バイオマス発電システムを目指す。

この実証事業は、北電総合設計が、東京大学と一般社団法人日本森林技術協会と共同で、林野庁補助事業「木質バイオマスの加工・利用システム開発」へ応募し、候補者に選定されたものである。

従来の木質バイオマス発電の多くは、石炭火力発電と同様に蒸気タービン式の発電システムを採用しているが、小規模では発電効率が低下するため、導入にあたっての課題となっている。

本実証事業では、具体的には、木質バイオマスをガス化および改質することで「水素」を生成し、燃料電池で発電する「高効率発電システム」の構築を図る。加えて、燃料電池から発生する排熱を全量回収・活用することで、全体のエネルギー効率向上を実現するものである。

2016年度は主に、木質チップを熱分解し、一酸化炭素と水蒸気を発生する「流動層ガス化炉の構築」に取り組み、その後2019年度までの予定で、全体システムへの拡張と実証を行っていく。なお、今回候補者に選定された林野庁補助事業は、2016年度における単年度事業であるため、2017年度以降も年度毎に申請を行い、補助金を得て4年程度で実施する計画だ。

実証事業の概要

小規模木質バイオマス発電実証システム(50kW程度)の概要は以下のとおり(図参照)。

  1. 800~1,100度の流動層ガス化炉で、木質バイオマス(チップ)を蒸し焼きにして一酸化炭素を発生させる。
  2. 一酸化炭素と水蒸気を触媒で反応させ、水素と二酸化炭素に改質する装置「改質器」で水素を生成する。
  3. この水素を使って燃料電池で発電する。これにより小規模でも高効率の発電が可能となる。
  4. また、燃料電池から発生する排熱を全量回収しガス化炉の加熱に利用する。

東京大学が特許を有する、効率的に排熱を回収できる燃料電池を活用することにより、発電効率50%以上、総合エネルギー効率70%以上を目指す。なお、本システム全体について、北海道電力、東京大学他で特許を出願済である。

各社の役割

北海道電力は、事業化に関する検討や同社電力系統への連系等に関する情報提供、北電総合設計は補助事業の代表提案者として、実証事業の全体調整やガス化炉の設計・製作、設置、試運転データ収集等を行う。また、共同提案者である東京大学は生成ガスのデータ解析やタール処理方法に関する解析等、日本森林技術協会は森林バイオマス資源の賦存量調査を行う。

北電総合設計は、北海道電力の業務で培った技術と経験を活かして、土木、建築、環境、エネルギー、電気・情報通信等の分野において、調査・設計・施工監理・維持管理に係る一貫した業務を行っている総合建設コンサルタント会社である。

林野庁補助事業について

名称は「新たな木材需要創出総合プロジェクト事業のうち木質バイオマスの利用拡大のうち木質バイオマス加工・利用システム開発事業」。未利用木質バイオマスを原料とする高付加価値製品や発電効率の高い新たな木質バイオマス発電システム、セルロースナノファイバー等のマテリアル利用技術等の開発・改良、試験生産等を行うものである。このうち、北電総合設計と東京大学、日本森林技術協会は、木質バイオマスの利用拡大に向けて「小規模木質バイオマス発電システム」の開発・実証を行う。

総合エネルギー企業として地域に貢献

北海道電力とほくでんグループは、北本連系設備を活用した風力発電の導入拡大に向けた実証試験、大型蓄電システム実証事業、家畜系バイオマス発電に係る研究開発事業などを着実に進め、再生可能エネルギーのさらなる導入拡大を図るとともに、本実証事業を通じ、水素を活用した新たな取り組みを進めることで、北海道における「総合エネルギー企業」として、地域の発展に貢献していく考えだ。

【参考】
北海道電力 - 小規模木質バイオマス発電実証事業の実施について

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