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水素スタンドの圧力容器につかう高強度金属材料、JIS規格改正でコスト減可能に

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水素スタンドの圧力容器につかう高強度金属材料、JIS規格改正でコスト減可能に

経済産業省は27日、燃料電池車(FCV)の普及に向けて、官民一体となって戦略的に整備が進めている「水素スタンド」で使用可能な高強度材料の使用条件を拡大するため、日本工業規格JIS B 8265の一部を改正したと発表した。

金属材料を使いやすくし、機器の設計を自由に

水素スタンドを設置するためには、高圧ガス保安法に基づく省令で定める技術基準を満たし、許可を受ける必要がある。高圧ガス保安法では技術基準に適合するものを例示して示している。

高圧ガス保安法における例示基準について、高強度金属材料「SUH660」の使用温度範囲を拡大し、水素スタンドでの使用を促進していくためには、同法の特定設備検査則例示基準および一般高圧ガス保安規則例示基準の改正が必要である。その第一歩として、高温でのSUH660の利用を一般化するために、JIS B8265の附属書B(材料の許容引張応力)にSUH660を追加し、温度範囲を350度まで規定した。

今回のJISの改正により、SUH660に係る例示基準が見直され、従来50度までに制限されていた使用温度範囲を120度まで拡大することが期待される。これにより、当該ステンレス鋼を使用する高圧水素機器類の設計の自由度が拡大し、水素スタンド建設の促進・低廉化が期待できる。

SUH660を使用した充填ホースの口金

充填ホースの口金にも使用される
出典:横浜ゴム株式会社

水素スタンド用鋼材は、50度以上となる環境下での使用を求められる場合があるため、高温・高圧で使用可能な鋼材が求められている。SUH660は、他の材料(SUS316(Ni当量品)、SUS汎用鋼、銅合金系)と比較して、2倍程度以上高強度であることから、高温下での使用が可能になれば製品を薄肉化、小型化できるメリットがある。

SUH660の耐水素性が確認された

高圧水素中では、金属材料が水素を吸収してしまい、脆くなってしまう(水素脆化)。特に強度の高い場合にはこの現象が顕著となることから、高圧ガス保安法では、FCV用水素スタンドの設置許可を出す際、設備に用いられる材料は、使用する環境(圧力・温度など)で安全が確認され、技術基準を満たす必要があるとしている。同法ではこの技術基準にJIS等の規格を活用している。

SUH660は、有望な高強度金属材料のひとつとして、2015年11月に高圧ガス保安法一般高圧ガス保安則例示基準に追加されたが、設計根拠となる許容応力はJIS G4311(耐熱鋼棒および線材)、JIS G4312(耐熱鋼板および鋼帯)には常温の場合のものしかないため、その使用温度は50度までに限定されていた。ところが水素スタンドでの使用温度は50度より高くなる場合がある。

一方、最近の材料評価の結果、SUH660は120度までの十分な耐水素性を有することが確認された。このため、圧力容器の許容引張応力の規範となるJIS B8265(圧力容器の構造 : 一般事項)の一部を改正した。

先進各国では、エネルギー安定供給確保および地球温暖化防止の観点から精力的に燃料電池車(FCV)の開発・普及を進めている。日本では、「水素・燃料電池戦略ロードマップ改訂版」によると、FCVは2020年までに4万台程度、2025年までに20万台、2030年までに80万台程度を目標とし、水素ステーション(水素スタンド)は2020年度までに160箇所程度、2025年度までに320箇所程度を目標としている(現在、80箇所程度)。

【参考】
経済産業省 - 水素スタンドの普及と水素社会の実現が期待される圧力容器の構造に関するJISを改正
水素ステーション、液化水素の保管が可能に 高圧ガス保安法の基準改正(2014/11/21)

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