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日本の電力需給バランスがわかる 電気事業者の供給計画のとりまとめデータ発表

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日本の電力需給バランスがわかる 電気事業者の供給計画のとりまとめデータ発表

電力広域的運営推進機関は29日、電気事業者が国に届け出た2016年度の供給計画を取りまとめ公表した。

本取りまとめでは、電力需要や需給バランスについて、前年度の推定実績および2016年度の見通し(短期)、そして、本年度以降10年間の見通し(長期)を示すとともに、電源構成の変化に関する分析や、送配電設備増強計画、広域的運営の状況、電気事業者の特性分析等についてまとめている。

また、同機関は、電気事業法に基づき、取りまとめた2016年度供給計画および取りまとめにあたっての意見を経済産業大臣に提出した。本取りまとめに関する意見では、「小売電気事業者の供給力確保の実効性」と「稀頻度リスクへの対応」について言及している。

「小売電気事業者の供給力確保の実効性」では、小売電気事業者の多くが、中長期の供給力を「調達先未定」として計画していることを踏まえ、国に対して、実効性のある供給力確保の在り方について検討を進めることを求めている。

中長期の需給バランス見通し(8月エリア需要全国合計、送電端)

中長期の需給バランス見通し(8月エリア需要全国合計、送電端)

「稀頻度リスクへの対応」では、供給計画の取りまとめを通じて、電気事業者から示された懸念を受けて、東日本大震災のような電力需給が極めて厳しい状況となる事態が発生する可能性(稀頻度リスク)を踏まえ、国に対して、稀頻度リスクについての考え方を整理し、その対応について検討を進めることを意見している。

2016年度は安定供給できる見込み

本取りまとめでは、需給バランス評価に関して、実態に近い供給力を捕捉するために、同機関にて、取りまとめの直近(6月10日)までに供給計画を確認した発電事業者(69者)の供給計画も含めて評価を行った。

方法としては、一般送配電事業者が届け出た各エリアの供給力(最大3日平均電力発生時に安定的に見込める供給能力)とエリア需要(一般の需要に応じて供給する電気の量のうち最大3日平均電力を示したもの)をもちいて、各エリアおよび全国の需給バランス評価を実施。エリアごとに予備率が8%以上あること(沖縄エリアについては、最大電源ユニット脱落時に供給力が最大3日平均電力を上回ること)を基準として評価を行った。

2016年度各月別の全国合計での需給バランス見通しによると、各月ともに、予備率8%以上となっている。また、各エリアの予備率は、一部のエリア・月で8%を下回るものの、連系線を活用した他のエリアからの供給力を考慮することにより、全てのエリアで安定供給の基準とする8%を確保できる見込み。また、沖縄エリアについてもに示す。全ての月で安定供給は確保できる見込み。

東京エリア、2021年、2022年は予備率8%未満

2016年度以降10年間の需給バランス見通しでも、全国合計では、各年度ともに予備率8%以上となっている。エリア別の予備率見通しでは、予備率が8%に満たないエリア・年度について、この予備率の算定に反映されていない供給力として、6月10日までに確認した供給計画から捕捉できた発電余力(追加発電余力)を追加、さらに、この追加発電余力を加えても予備率が8%に満たないエリア・年度について、連系線空容量と他エリアの予備率8%を上回る供給力を考慮して評価を行った。この評価においても、東京エリアの予備率は2021年度、2022年度で8%を下回っている。なお、その他のエリア・年度においては予備率が8%以上となっている。

このように、予備率8%を下回るエリア・年度が存在するものの、電源開発計画の全てを捕捉できていないこと、今後増強される連系線の扱いが検討中であること、更に、原子力発電の供給力のほとんどが「未定」(=0)の計上となっていることを考えると、直ちに安定供給に支障があるとは言えない。上記の状況などもふまえ、今後の需給バランスの状況を注視していくとしている。

事業エリア数毎の小売電気事業者比率 各エリアで事業を展開する小売電気事業者数およびエリア需要

(上)事業エリア数毎の小売電気事業者比率
(下)各エリアで事業を展開する小売電気事業者数およびエリア需要
とりまとめデータの中には、電気事業者の特性分析なども含まれている

平成28年度供給計画への経済産業大臣の意見は

同機関による意見の内容は以下のとおり。

1.小売電気事業者の供給力確保の実効性について

今回の供給計画からは、小売電気事業者の多くが、中長期の供給力を「調達先未定」として計画していることがわかった。この調達先未定の供給力については、小売電気事業者が、現時点において相対契約等で長期に亘る供給力を確保していないものの、今後、卸電力取引市場や新たな相対契約等の締結を通じて、調達されていくものである。

今後、原子力発電の再稼働や新規電源の導入により、経年火力は停止され、電源が入れ替わっていくことが想定される。しかし、発電事業者にとって、小売電気事業者との間に長期契約等がない場合、保有する電源を期待通りに稼働させられるのかどうかの確証が得られず、結果として計画通りに電源の新設・入替えが行われない可能性があり、将来、市場調達可能な供給力が、需要に対して十分に確保されないことも懸念される。

このため、同機関としては、上記の状況を注視しながら、今後実施する需給変動リスク分析において、将来の電力需給の見通しや、電源入札等の実施の必要性などについて検討を深めていくこととする。国においては、将来の安定供給を確実に確保するため、国民負担とのバランスに配慮しつつ、容量メカニズムの導入等も含め、実効性のある供給力確保の在り方について検討を進められたい。

2.稀頻度リスクへの対応について

供給計画の取りまとめを通じて、電気事業者から以下の懸念が示された。

  1. 原子力発電の再稼働や再生可能エネルギーの導入により、競争力が相対的に低い石油火力等の経年火力は徐々に廃止されていくこととなる。その場合に、例えば、東日本大震災のように大規模かつ長期間に亘り供給力が減少するような稀頻度事象が発生すると、電力需給は極めて厳しい状況になることが想定される。こうした事態が発生する可能性(稀頻度リスク)を踏まえた、石油火力発電等の供給力の確保のあり方を検討することが必要ではないか。
  2. 需給調整契約等の非常時に供給力の代替として使い得る手段については、2016年度については、旧一般電気事業者としての非常時のリスク対応等の観点から、従来と同程度の契約を維持している。しかし、競争環境の変化やコスト面も鑑み、今後保有し続けることが難しいと考えており、2017年度以降の取扱いについては未定となっている。そのため、今後はこの取扱いについて、改めて整理する必要があるのではないか。

上記について、電力広域的運営推進機関としても重要な課題と認識したことから、稀頻度リスクをどう考えるべきか、また、その対応として電源入札その他の手段を講ずるべきかについて議論を進めていく。国においても、稀頻度リスクについての考え方を整理し、その対応について検討を進められたい。

【参考】
電力広域的運営推進機関 - 平成28年度供給計画の取りまとめについて

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