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東京電力の火力発電所に環境大臣意見 ベンチマーク指標の目標達成など求める

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環境省は1日、東京電力グループが神奈川県で計画中の石炭火力発電所や、姫路天然ガスが兵庫県で計画中の天然ガス発電所など、4件の大型火力発電所の設置計画に係る計画段階環境配慮書に対する環境大臣意見を経済産業大臣に提出した。

環境大臣意見では、東京電力グループによる3件の石炭を利用する発電所の設置計画に対しては、省エネ法に基づくベンチマーク指標の目標達成、達成状況の毎年度の自主的公表、その達成に向けた取組み内容の検討および準備書への記載、達成できないと判断した場合の事業見直しの検討、原則、電力業界の自主的枠組み参加事業者への電力供給等を求めている。

また、姫路天然ガスの天然ガス発電所の設置計画に対しては、省エネ法に基づくベンチマーク指標の目標達成、その達成に向けた取組内容の検討および準備書への記載、原則、自主的枠組みの参加事業者への電力供給等を求めた。

今後、経済産業大臣から事業者に対して、環境大臣意見を勘案した意見が述べられ、事業者は、意見の内容を検討した上で事業計画を決定し、事業段階の環境影響評価(環境影響評価方法書、準備書、評価書)を行うこととなる。

また、環境大臣意見では、経済産業省に対して、すべての発電事業者に対する確実な省エネ法に基づくベンチマーク指標の目標遵守、電力業界に対する自主的枠組み参加事業者の拡大と目標達成の取組促進、小売電気事業者に対する高度化法の遵守、省エネおよび高度化法の指導・助言、勧告・命令を含めた措置の適切な運用等を通じた、電力業界全体の取組の実効性の確保等を求めた。


今回、環境大臣意見を提出したのは下記4件の書類。

(1)(仮称)横須賀火力発電所新1・2号機建設計画に係る計画段階環境配慮書

この事業は、東京電力グループの燃料・火力発電事業会社である東京電力フェエル&パワーが、神奈川県横須賀市にある横須賀火力発電所構内において、重油・原油を燃料とする3~8号機、軽油を燃料とする非常用設備である1号ガスタービン発電設備および軽油等を燃料とする2号ガスタービン発電設備を廃止し、新たに石炭を燃料とする発電設備(出力約130万kW)を設置するものである。

(2)福島復興大型石炭ガス化複合発電設備実証計画(広野)に係る環境影響評価準備書

この事業は、東京電力ホールディングスが、東京電力フュエル&パワー広野火力発電所構内に世界最新鋭の石炭ガス化複合発電設備(出力54万kW)を新たに設置し、実証を行うとともに、実証終了後も継続して運転するものである。

(3)福島復興大型石炭ガス化複合発電設備実証計画(勿来)に係る環境影響評価準備書

この事業は、東京電力ホールディングスおよび常磐共同火力が、常磐共同火力勿来発電所構内およびその隣接地に世界最新鋭の石炭ガス化複合発電設備(出力54万kW)を新たに設置し、実証を行うとともに、実証終了後も継続して運転するものである。

(4)(仮称)姫路天然ガス発電所新設計画に係る計画段階環境配慮書

この事業は、姫路天然ガス発電が、兵庫県姫路市で天然ガスを燃料とする発電所(総出力約180万kW)を設置するものである。


環境大臣意見の概要

日本の温室効果ガス削減目標を規定した「日本の約束草案」と整合的なエネルギーミックスについて、その達成を各電源において目指す中で2030年度の総発電電力量に占める石炭火力発電の割合は26%程度であり、2014年度の実績の石炭火力発電の電力量が既にそれを上回っている状況となっている。

(1)~(3)に対する環境大臣意見では、前文で、石炭火力発電所の新設・増設計画が後を絶たず、石炭火力発電の割合の増加は日本の温室効果ガス削減目標の達成に深刻な支障を来すことが懸念されることに言及。

(1)の東京電力フェエル&パワーによる、石炭火力発電所の計画に関しては、現時点において、本事業者の省エネ法に基づく目標(火力発電効率A指標及びB指標)の達成状況は不明であるが、来年度以降、情報を自主的に公表することが期待されること、今後、老朽設備のリプレース等による発電効率の向上、維持等により、現時点では2030年度までにいずれの目標も達成できるとの見通しを示していると説明。

(4)の姫路天然ガス発電による天然ガス火力発電所の建設計画に関しては、石炭等火力発電と比較して相対的にCO2排出源単位が小さいものの、CO2等を排出する火力発電所を新設する計画であり、その工事の実施・施設の供用に当たっては、様々な環境負荷が広範囲に影響を及ぼす可能性があると指摘する。

(1)と(4)の計画に対しては、総論で、今後、本事業に伴う環境影響を回避・低減するため、必要に応じて専門家等の助言も受けた上で、科学的知見に基づく十分かつ適切な調査をし、予測および評価並びに環境への影響低減のための適切な環境保全措置を検討することを求めている。また、地元自治体の意見を十分勘案し、環境影響評価において重要である住民等の関係者の関与についても十全を期すこととしている。

(3)(4)の福島復興大型石炭ガス化複合発電設備実証計画に対しては、総論で、本事業の工事の実施、実証および実証終了後の供用に当たっては、温室効果ガスの排出削減対策をはじめ、大気環境及び水環境の保全対策、スラグ等の廃棄物の適正処理等の環境保全措置を適切に講ずること等を求めている。

計画段階環境配慮書に対する環境大臣意見の提出について

環境影響評価法および電気事業法は、出力11.25万kW以上の火力発電所の設置、または変更の工事を対象事業としており、環境大臣は、提出された計画段階環境配慮書※について、経済産業大臣からの照会に対して意見を述べることができるとされている。本件は、この手続きに沿って意見を提出するものである。

※計画段階環境配慮書:配置・構造又は位置・規模に係る事業の計画段階において、重大な環境影響の回避・低減についての評価を記載した文書。

【参考】
環境省 - (仮称)横須賀火力発電所新1・2号機建設計画に係る環境大臣意見の提出

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