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人工光合成のエネルギー変換効率をアップ 富士通が開発した新材料

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人工光合成のエネルギー変換効率をアップ 富士通が開発した新材料

富士通研究所(神奈川県川崎市)は、7日、人工光合成における太陽光のエネルギー変換反応を高効率化する新しい薄膜形成プロセス技術を開発したと発表した。

人工光合成は太陽光と水とCO2を用い、酸素と水素、有機物などの貯蔵可能なエネルギーを人工的に生成する技術。今回開発されたのは、この技術で使われる明反応電極において、酸素の発生効率を100倍以上向上させる新しい薄膜形成プロセス技術だ。これにより、人工光合成による貯蔵可能な生成エネルギー量の向上がのぞまれる。

これまでは光励起材料の密度が低かった

水素や有機物など貯蔵可能なエネルギーを人工的に生成するためには、太陽光のエネルギーを用いて光励起材料から反応電子を効率よく取り出し、加えて電極において、効率的に水やCO2と化学反応させることが必要だ。

現在は、太陽光と水が反応する明反応の電極において、半導体材料や、比較的大きい粒子状の光励起材料を、密度の低い構造で固めた材料が用いられているが、太陽光の中で利用できる波長の範囲が狭いことから、化学反応に十分な電流量を取り出すことが困難であるという課題があった。

この課題を受け、フレキシブル実装シート上にキャパシタなどの受動素子を形成するための電子セラミックスの成膜法(ナノパーティクルデポジション)を改良し、光励起材料の原料粉末をノズルで吹き付ける際、原料粉末を薄い板状に破砕しながら基板上に積層させる薄膜形成プロセス技術が開発された。

開発された技術の特長は下記の通り。なお、材料内部の構造解析は東京大学の幾原研究室と共同で実施された。

1. 利用可能な太陽光波長域の拡大

光励起材料の原料粉末を、成膜後に原子レベルのひずみを持つ結晶構造となるような組成にすることで、同技術適用前と比べて太陽光のエネルギーを吸収できる最大波長を490ナノメートルから630ナノメートルへと広げ、利用可能な光の量を2倍以上に向上させることに成功した(図1)。

開発材料の太陽光の反射率

図1 開発材料の太陽光の反射率

2. 高い電子伝導特性

形成された薄膜は、ミクロ・マクロな欠陥がないため結晶性が良く、材料中の粒子間の電子伝達特性に優れた緻密な構造となっている(図2)。これにより太陽光で励起された電子を効率的に電極に伝えることが可能となる。

高い電子電動特性を持つ薄膜形成プロセス技術

図2 高い電子電動特性を持つ薄膜形成プロセス技術

3. 水との大きな反応表面積を確保するナノサイズの粒子で構成された構造体

薄膜の表面構造は、材料と水との反応表面積が大きく、また、材料結晶中の電子密度の高い結晶面が膜表面に規則的に形成されている。その結果、水と光の相互反応を大幅に促進させることに成功した(図3)。

人工光合成の明反応電極部の材料構造

図3 人工光合成の明反応電極部の材料構造

この技術により、光励起材料をそのまま用いる場合と比べて、太陽光の中で利用可能な光の量が2倍以上に広がり、材料と水との反応表面積を50倍以上に拡大することに成功し、電子および酸素の発生効率を100倍以上に向上させられることが確認された。


今後、同研究所は、光励起材料とプロセス技術のさらなる改良を進め、明反応の電極の特性向上を図るとともに、暗反応部(ニ酸化炭素還元反応)・全体システムの技術開発についても取り組み、人工光合成技術の実用化を目指す。

なお、同技術の詳細は、2016年10月19日、英科学誌Scientific Reportsのオンライン版に掲載された。

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