電力・ガス自由化ビジネスチャンス

エネルギー併売モデルの進化 ~LPG事業者のライフライン総合販社への布石(2ページ目)

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ここで、2つのマーケティングエフォートによって、課題解決を試みてほしい。1つめは、大手企業が攻勢をかけるマーケティングモデル=「セット割引」「ポイント還元」という、極めてプリミティブ(原始的)なモデルに対する対抗手段の想定である。この課題解決にあたり、通信サービス等、ライフラインとして既存顧客に併売可能なアイテムを増やすことによって、大手企業に近い価格弾力性を得ることができると考える。つまり、大手企業は市場規模の大きさを前提に価格弾力性を保持するのであって、元々市場規模の小さなLPG事業者の場合は、扱うサービスアイテムを増やすことで価格弾力性を保持する、という発想である。

2つめは、大手のプリミティブなマーケティング戦略に対して「高付加価値型」のマーケティング戦略を想定する必要がある、ということだ。最も大きな付加価値要因は「グリーン電力」の販売である。1億総消費市場の電力にあって、グリーン電力はある種のマイノリティかもしれない。しかしながら、一定の市場があることは既に広く知られているところである。そしてグリーン電力を専門的に取り扱うと共に、グリーン電力が地域内で発電・供給されていることで、より地域市場に対する付加価値(雇用創出、付帯サービス便益等)を検討しやすくなる。

海外のエネルギー市場において、「デュアルフュエル契約(電力・ガス一括契約)」は当然の併売モデルである。その上で、電力小売市場への参入を画策するLPG事業者は、上記2つのマーケティングエフォートによって、日本の電力市場を「イギリス化」させず、マーケッターが市場を握る「ドイツ化」を前提に市場成長させることを、ぜひに議論していただきたい。

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