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ついに非FIT電源も対象に 「非化石証書市場」をおさらい

2018年5月に始まった非化石価値取引市場(非化石証書市場)。2020年度からはすべての非化石電源が非化石証書の対象となる。こうしたことから、現在周辺の制度も含めた仕組みが急ピッチで整備されている。4月16日に開催された「第17回 温対法に基づく事業者別排出係数の算出方法等に係る検討会」もそのひとつ。非FIT非化石証書取引と他の制度との整合性、特に、CO2排出係数について検討された。この議論も含め、非化石証書市場のこれまでの動きと論点、課題などについてまとめた。

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市場は2018年に開設された

エネルギー供給高度化法(高度化法)で小売電気事業者は、自ら調達する電気の非化石電源比率を2030年度までに44%以上にすることが求められている。また2019年から中間目標についての議論もスタート。2020年度に初めて中間目標が設定された。

一方で、従来卸電力市場で取引されていた電気は、非化石価値が埋没していた。また、FIT電気の持つ環境価値についても「賦課金負担に応じ全需要に帰属する」と整理されていたため、非化石電源比率を高める手段として活用されていないのが課題だった。

このような状況を踏まえ、総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会 電力システム改革貫徹のための政策小委員会(貫徹小委員会)の議論を経て、非化石価値を顕在化し取引を可能とすることで、小売電気事業者の非化石電源調達目標の達成を後押しすること、また、需要家にとっての選択肢を拡大しつつ、FIT制度による国民負担の軽減に資する、新たな市場である非化石価値取引市場を創設することが決定された。なおこの証書は、高度化法の非化石電源比率報告時、温暖化対策法(温対法)の排出係数を算定する際にも使用可能だ。

第1回目のオークションは2018年5月に実施、まずはFIT電源での取り扱いがスタートした。また、2019年8月の非化石証書オークション(2019年度第1回非化石証書オークション)では、環境価値の由来となった発電所を明らかにした、トラッキング付非化石証書の販売を行った。このトラッキング付き非化石証書を活用した電気を小売電事業者が販売した場合、その電気は再エネ由来として扱われ、RE100にも活用できる。

そもそも、非化石証書って? 環境価値って?

トラッキング付非化石証書とは、FIT非化石証書に電源種や発電所所在地などの付加価値的な属性情報をトラッキングし紐づけたもの。2019年2月(2018年度第3回オークション)から実証実験が行われてきた。なお、需要家は市場での非化石証書の購入ができない。経産省は、小売電気事業者は、契約されている需要家からトラッキング付非化石証書の購入を求められた場合は、積極的に対応するよう呼びかけている。

需要家が再エネ電源を調達する方法は、大きく3つにわけられる。まずは、自ら再エネ発電設備を導入する自家消費型発電。2つ目は、小売電気事業者のグリーン電力メニューを購入すること。例えば水力発電所の環境価値を特定の顧客に提供するものや、非FITの再エネ発電所を建設・活用するなどだ。またこのケースでは、「再エネ証書」を活用しCO2排出係数を下げた電力を提供するものも考えられる。

そして3つ目が、この「再エネ証書」の購入。「再エネ証書」は「J−クレジット」「グリーン電力証書」そして「非化石証書」にわかれる。グリーン電力証書は、再エネ由来電気が持つ環境価値を証書化するもので、その環境付加価値の認証は第三者認証機関が行う。温対法上のCO2排出削減を申請することもできるが所定の手続きが必要だ。

J−クレジットは、省エネ機器の導入や森林経営等の取り組みによるCO2削減量や吸収量をクレジットとして国が認証する制度。RE100では、このうちの「排出削減(再エネ由来)」が使用できる。また上述した通り、RE100の観点から見ると、非化石証書でRE100対応であるのはトラッキング付きのもののみだ。

なお、市場開設の検討過程で電気に付随する価値は、「環境価値」「産地価値」「特電電源価値」の3つが存在すると整理されている。また、小売電気事業者が調達した電気が非化石エネルギー源に由来する場合、その環境価値は「非化石価値」「ゼロエミ価値」「環境表示価値」の3つを有するとされている。非化石証書とは、この3つの価値を顕在化し証書化したものだ。

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