ついに非FIT電源も対象に 「非化石証書市場」をおさらい(2ページ目)

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卒FIT電気の取り扱いは?

発電事業者は、認定主体である国から電源および電力量の認定を受けることで、非FIT非化石証書を取得する。そして、発電事業者は、当該証書をオークション(市場取引)あるいは相対取引によって、小売事業者へ販売する流れとなる。2020年4月の発電分以降、非FIT非化石電源から発電された電気に由来するこれら環境価値は、電気とは切り離され非FIT非化石証書として取引されることとなる。

なお非FIT非化石電源とは、卒FIT電源、原子力、大型水力・バイオマスなどの自然エネルギーがこれにあたる。また、卒FIT電源については、2019年11月発電分から、非化石証書の対象とされている。なお、当面の間、卒FIT電源に由来する非化石証書については、電気とセットでの相対取引のみが認められている。この場合はRE100での利用も可能との見解を得ている

これまで非FIT非化石電源から発電された電気を小売電気事業者が相対契約にもとづき調達した場合、この電気は「非化石価値を有する電気として高度化法の非化石電源比率に計上可能」とされてきた。非FIT非化石証書制度の導入にともない、非化石電源から発電された系統電力の非化石価値は、非FIT非化石証書に化体される。これは、非化石価値のダブルカウントを回避するためで、相対取引で非化石価値を有する電気を小売電気事業者に販売する場合でも、すべて証書化し管理する方向で議論されてきた。

この場合、「ゼロエミ価値」「環境表示価値」も併せて証書に付随する。このため、小売電気事業者が非FIT非化石電源から電気を相対で調達していても、非化石証書を調達していない場合、当該電気を高度化法の非化石電源比率に計上することができず、証書に付随する他の環境価値も取得できないこととなる。

また、FIT非化石証書により環境価値が分離されたFIT電気の排出係数については、当該電気の基礎排出係数は0、調整後排出係数はFIT証書のCO2削減効果である、と整理されている。そして、非FIT非化石証書の持つCO2排出削減効果も同様とし、FIT非化石証書と同様「全国平均係数」との方向で議論が進んでいる。

つまり、非FIT非化石証書により環境価値が分離された「非FIT非化石電源に由来する電気」を調達した場合、基礎排出係数を0とし、調整後排出係数は非FIT非化石証書のCO2削減効果を加算するという論点が上がっているということだ。なおこの場合、この電気を調達した小売電気事業者が、非化石証書を相対あるいは市場で調達し、販売する電気にあわせて使用した場合、調整後排出係数はゼロとなる。

以上の論点を整理したのが下の図だ。

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経産省資料より抜粋
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経産省資料より抜粋
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非FIT非化石証書の排出係数は「全国平均係数」

非FIT非化石証書は、高度化法や温対法で活用できることは先に述べたが、現在論点となっているのは、非FIT非化石証書の温対法におけるCO2排出原価単位の検討について。ここで、2020年4月16日に開催された「第17回 温対法に基づく事業者排出係数等の算出方法等に係る検討会事務局」における「現行の係数算出方法における課題と対応」の議論の内容を紹介する。

検討にあたっては、非化石証書の活用方法に加え、事業者の排出係数へのインパクトや、2020年度から開始された高度化法の中間目標設定に係る制度趣旨に関する点も踏まえて整理を行う必要があると考えられている。具体的な論点は以下の3点だ。

  1. 非化石証書の活用方法
    FIT非化石証書については、JEPXから調達した電気やFIT電気にも活用されており、今後取引される非FIT非化石証書についても、同様の活用方法に加え、非化石証書の発行に伴い環境価値が切り離された水力発電由来の電気等にも活用されることも想定される。このため、小売電気事業者が非化石証書を活用する対象の電源は、必ずしも火力電源由来の電気とは限らない
  2. 事業者の排出係数へのインパクト
    CO2排出原単位を火力電源平均とした場合、非化石証書を用いて排出係数を低くしたい事業者にとっては、オフセット効果が大きくなるため、排出係数低減につながる。一方で、非FIT非化石電源の持つ環境価値のうち「ゼロエミ価値」は非化石証書に化体され、ゼロエミ価値が切り離された電気に適用されるオンセット効果の影響も大きくなる。なお、再エネ電源を自社で保有する事業者などは市場に証書を供出した分だけ調達する電気の係数は悪化するが、火力電源平均となることでさらに悪化する
  3. 高度化法における制度趣旨との関係
    2020年度より中間目標が設定されることとなったが、非化石証書の取引環境に大きな影響を与えないよう、化石電源グランドファザリング(特例措置)を導入するなど、小売事業者間の非化石電源の調達環境に配慮した制度設計を行っている。排出係数についても同様に、一部の事業者にとって、現状に対して、大きな変更となる扱いはなるべく避けることが必要と考えられる。なお、「再エネ電源を自社で保有する事業者等の証書販売側」と「証書の購入側」で、取引環境に大きな影響を与えないことが望ましい

上記のように「小売電気事業者が非化石証書を活用する対象の電源は必ずしも火力電源由来の電気とは限らないこと」や、「非FIT非化石証書のCO2排出原単位によって一部の事業者の排出係数が現状に対して大きな変更が生じるような扱いは避けることが必要」という観点から、非FIT非化石証書の排出係数について、FIT非化石証書同様に「全国平均係数」とすることが改めて確認された。

なおこれは、非FIT非化石証書はFIT非化石証書と同様に、高度化法の2020年度中間目標値の達成のために利用されることとなるため、両証書のゼロエミ価値の公平性の観点も重要との考えもある。

GHGプロトコルなど、他の海外制度との整合性は?

一方議論では、「CO2削減という本質を考えると、全国平均係数を用いることでよいのか?」や「ユーザーの声を反映した制度を望む」といった声、「他の国際的なイニシアチブと整合性」について質問があがった。

国内では、温対法に基づく温室効果ガス(GHG)排出量算定・報告・公表制度(SHK制度)により、企業は自らのGHG排出量を算定している。しかしSHK制度にて定められているGHG排出量の算定方法とGHGプロトコルスコープ2ガイダンスのGHG排出量の算定方法には違いがある。

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経産省資料より抜粋
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つまり需要家は温対法に基づき算定した排出量であると、CDP、SBT、RE100などへの報告に使用しづらくなるということだ。

議論では、非FIT非化石証書の取引開始が迫っていることや他の制度との整合性を重視。一方、こうした議論があったことを資料に付すことも提案され、委員長預かりで事務局と論点整理することとなった。今後、この内容はパブリックコメント実施後、適切な時期に通達を改正する。検討会では、他の審議会の議論の動向や事業者の取引の実態を踏まえつつ、変更が必要と思われる事項も含め検討を継続していく構えだ。

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