2020年の国際社会の動向を予測する 「気候資金」を巡る最近の動きとは(2ページ目)

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ESG投資を取り巻く新たな動き

民間主体が重要な役割を有するESG投資についても、この1年程度の間に、資産運用機関等の国際ネットワークにおいて長期的な「ネットゼロ排出」を目指す動きや、「責任銀行原則」などの新しい動きが進む。また、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)において、日本企業が世界最多の賛同数となるなどの実績も出てきている(2020年1月中旬時点、賛同機関の973機関中、日本は227機関)。

その中で、ESG投資に対する「制度化」ないしは「標準化」の動きが進行中であることを指摘したい。

2019年4月に、英国、フランス、オランダなどの中央銀行等が中心となる「金融のグリーン化を目指す中銀・監督当局ネットワーク」(NGFS)が、気候変動をリスクとして明示的に意識する考えを提示し、11月には「中銀資産管理のための持続可能・責任投資ガイド」を公表している。

また、話題となっているEUのタクソノミーについては、「気候資金」の定義を巡る議論等とも関係が深いようだ。今後、タクソノミーについては、EU内の法制化だけでなく、ISOの中でグローバルスタンダードとして活用される可能性もある。

金融のISO化については、当然賛否があろうが、こうした様々な動きの背景には「資金フローを低排出及び気候に強靭な開発への道筋と一致させる」(パリ協定第2条1項⒞)との考えがあり、決して一過性の動きではないと考えられる。

政策主導であるCOPにおける気候資金の議論が、ESG投資のあり方に影響を及ぼす可能性があることから、2020年のCOP26における気候資金の議論にも注目していきたい。

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