「畜産環境問題」の発生源だった家畜排泄物をバイオマス資源とし、肥料資源やバイオマス発電に利活用。資源循環により脱炭素化、化学肥料に比べて安価で価格変動が少ない堆肥への引き合いが増えている肥料の有機・国産化を高める。畜産業界を取り巻く問題や今後の対策について、農林水産省畜産局畜産振興課環境計画班課長補佐の夏目 曜氏に話を聞いた。
農林水産業由来が占めるGHG排出量割合は約4%
畜産業界では従来、「家畜排泄物」の不適切な管理(処理・保管)により、悪臭や水質汚染など「畜産環境問題」が発生し、その解消が大きな課題となってきた。さらに近年では、家畜排泄物は畜産業由来の温室効果ガス(GHG)の主要な排出源のひとつとされ、畜産農家に対し、より適切な管理が求められている。

「畜産環境をめぐる情勢」(出所:農林水産省生産局畜産部畜産振興課)

「畜産環境をめぐる情勢(2018年2月)」(出所:農林水産省生産局畜産部畜産振興課)

日本のGHG排出量(約11.4憶トン、22年度)のうち、農林水産業由来が占める割合は約4%で、そのうち畜産業由来のGHGが約28%を占める。畜産業由来のGHGは主に家畜排泄物管理に由来するCH4(メタン)、N2O(一酸化窒素)と消化管内発酵(げっぷ)由来のN2Oに大別され、家畜排泄物管理由来が全体の2分の1弱を占める。
農水省では家畜排泄物由来のGHG排出量削減のために、家畜排泄物管理方法の変更やアミノ酸バランス改善飼料の給餌等の取り組みを推進している。
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