脱炭素と廃棄物

廃プラスチックのリサイクルは問題山積み、その原因と対策を専門家が解説

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プラスチックは異物が混入すると物性が大幅に低下するため、リサイクルの製品への評価は低かった。炭素の循環利用を原則とする社会では、廃プラスチックのリサイクルはエネルギー回収に比べてエネルギー的および経済的にも優位になると考えられる。現在、プラスチックは世界で毎年約4億トン生産され、約3億トンが廃棄されている。生産量や廃棄量は今後も増加すると予想されているが、日本は21世紀から減少に転じた。

我々が購入している商品の大部分はプラスチック容器に入っており、廃プラスチックの約半分は容器包装類である。日本の家庭から排出されるごみで、廃プラスチックは重量で約13%、体積で約49%を占めている。容器包装プラスチックの排出量はGDPの増加に伴って大きくなり、日本の排出量はEUの平均値とほぼ同程度である。毎日、台所から排出される廃プラスチックは身近で、しかし地球規模の大きな問題となっている。

安価なエネルギー回収が主流

埋め立て処理地が不足している日本では、エネルギー回収は安価で、有機系廃棄物の処理方法として最も広く実用化されてきた。エネルギー回収される廃プラスチックは全体の約62%で、発電、熱利用、固体燃料(RPF)として利用されている。エネルギー回収は廃プラスチックの最終的な利用法として重要であり、EU内のドイツやスウェーデンのエネルギー回収の割合も50、60%で日本と同程度である。

日本では自治体の境界を超えて廃棄物を移動させることに対する市民の理解が得られ難かったため、市町村ごとに小規模な焼却施設が多数建設され、発電効率は平均13%程度と極めて低く、環境省は広域処理による施設の大規模化を図り、25%以上の発電効率を目指している。

EUでは大規模な処理施設が多く、排熱を地域暖房に利用しているために総合エネルギー利用効率が高い。一方、日本は北海道を除いて温熱に対する需要は小さく、また排熱を利用するための新たなインフラ建設はコストが高く実用化は困難である。日本の気候や社会構造に適し、経済的でエネルギー利用効率を飛躍的高めるための革新的な技術開発が求められている。

リサイクルによるCO2削減効果は小さいが、2050年では重要となる

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