集中連載企画 これからのシン・企業ブランディング戦略

第2回 ブランディングとマーケティングの違い

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スマートフォンやネットが普及し、誰もが簡単に情報を発信できる時代になりました。その結果、これまで広告出稿を積極的に行ってこなかった中小企業やBtoB企業もネットを活用したマーケティング活動に乗り出してきています。しかし、そもそも自社をアピールする専門部署やノウハウの蓄積がない企業にとって、情報発信が目的化してしまうなど経営メリットに直結していないケースも少なくありません。自社が何をアピールすべきなのか、集中連載第2回。期間限定 特別無料公開中!

ブランディングとマーケティングは違う

前回の記事では、ブランディングの定義や必要性について解説しました。まとめると、ブランディングとはすなわち商品・サービス(を提供する会社)とお客様との関係性をより良くする活動といえます。こうした活動は、マーケティングともよく似ており、とても混同しやすいポイントです。しっかりとブランディングとマーケティングの違いを捉えておくことで、それぞれのメリットを最大化できるようになるため、今回はこの点について、ご説明していきたいと思います。

そもそもマーケティングとは、企業の営業戦略の道筋を規定するものです。どのようなターゲット=市場に対して、どんなビジネスを行うかを決めて、より効率よく買っていただくための技術ということもできます。

ただ昨今は、マーケティングを狭義で捉えることも多く、ある商材をどんなセグメント(細かく区切った市場やニーズ)に対して、どのような手法を使って販売するかを決定・実行するためのプロセスと捉えていることも多いでしょう。いわば「売り方」の手法=H O Wに当たるものなので、マーケティングの精度が上がれば売上が向上したり、より高価格で売れる可能性も出てきます。

一方、ブランディングは、その商品や企業の顔づくりに当たるので、マーケティングで構築した売り方の道を通って、顧客に何を見せるか=W H A Tを決めていくものなのです。やや難しい例えだったかもしれませんが、マーケティングを洗練させ、お客様がスムーズに自社サービスにたどり着いたとしても、そこにふさわしい顔(イメージ)がないと期待外れになり買っていただけない、と言う現象を生みます。

このようにブランディングとマーケティングは切っても切れない関係です。そのため、ブランディングを行う際には、市場や顧客の視点からみて戦略を立案することが重要です。一方で、マーケティング的に魅力的な市場を発見したとしても、その期待に答える商品や能力(技術力)がなければ、どんなに優れたブランドを構築しても、お客様の期待に応えることはできないのです。

出会うべき顧客に出会うことの大切さ

その企業や商品に見合ったブランディングを行い、適切なマーケティング活動を行う最大のメリットは、何といっても「出会うべき顧客」に出会うことです。そのメリットは、「顧客が固定ファンになり、進んで商品や企業を宣伝してくれる」ということです。

このメリットは、BtoCで例えれば、競合品があっても「このブランドが良い」と思えばリピート買いしてくれることにつながり、BtoBでは契約更新などの際にも推奨してくれるなどの価値を生むのです。リピート客が増えることで経営効率もアップします。

そして、自分の「期待に叶う、願いを叶える商材」と認められることで「同じ悩みや希望を持っている人に勧めたい」というマインドセットになります。いわゆる口コミ効果です。ECサイトのレピテーションなども同じです。いずれも企業が直接的に語るよりも、信頼性があると受け止められることが多いものです。

このメリットがとてもわかりやすいのが、食品・化粧品・洗剤類などの消費財ビジネスです。この世界では、ある顧客が20代から50代まで購入し続ける、といった顧客生涯価値(ライフタイムバリュー=LTV)が、重視されています。

だからこそ、商品をブランド化して刷り込んでいくのです。では、同じような効果を、どう中小企業やBtoBに応用したらいいのでしょうか。次回はこの点をご紹介していきます。

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