集中連載企画 これからのシン・企業ブランディング戦略

第7回 クリエイティブについて

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ブランディングのフレームワークの実践と仕上げを行ったら、次はそれを対外的に発信するクリエイティブのフェイズになる。ブランディング戦略の要ともいえるクリエイティブについて解説する大人気集中連載第7回。期間限定 特別無料公開中! これまでの連載はこちら

ブランディングにはクリエイティブが必要

さて、これまでの連載では「なにを言うか=What」となるブランディングコアを明らかにし、検証していくためのプロセスをご紹介してきました。そして次はいよいよ、伝えるためのプロセスです。人に伝える上での前提は、誰を対象にするのか、つまりターゲットの選定です。ただ、企業ブランディングにおけるターゲティングはマーケティングで行うほど細分化しなくても良いと考えています。企業のアイデンティティを表明したい相手は誰か。その対象への優先順位などをある程度、整理しておくとよいでしょう。

一般的には企業ブランディングの場合は、メインターゲットを自社の社員やその家族、また、採用対象者などにおき、次に顧客(顕在・潜在)、ビジネスパートナーというように定義することが多いものです。もちろん、戦略によっては、より潜在顧客などに焦点を当てて、企業の未来像などを訴求するケースもあります。

ある程度対象を整理できたら、次は「どう伝えるか」を考えていきます。そこにおける考え方が、今回の連載のもうひとつテーマでもある「クリエイティブ」です。

クリエイティブは企業のメッセージ

クリエイティブ構築のプロセスは、ある意味でブランドのコアを見つけるよりも難易度が高いプロセスということもできます。ロジカルに整理することで、一定の答えが見えやすく判断も合理的に行うことができるブランディング。一方で、クリエイティブは感覚的なものも必要になります。ブランドの象徴となり、その企業の顔や名刺代わりになるクリエイティブには、人の心を掴む魅力的な表現や自社らしいユニークさ、メインターゲットでない人が目にしても、どこか惹きつけられるようなニュアンスが求められます。

ビジネススキルとしてのクリエイティブ

クリエイティブの世界は実際に奥が深く、修行的なニュアンスもあるので、このコラムで簡潔にご紹介するのは無理があるのですが、少しだけ私たちクリエイターが大切にする観点やコツをお伝えします。例えばブランドを象徴するスローガン(メインコピー)の作り方・考え方のヒントは、1つは内容としてその会社らしさや差別化と感じる要素が入っているか。2つ目は、その語り口調にその会社の風土が表れているか(優しそう、シャープに、といったトーン&マナー)3つ目が、読み手の立場に立っているか。というポイント。

プロではない方々が、考える際に1や2についてはある程度、考えることができるはずです。経験上、この中で最も難しいと言えるのが3のポイントです。コピーライティングの難しさは、どのような言葉にすると相手の心にどのように届くかが正しく計算できていること。単なるひらめきに止まらず、長く使える言葉であるか。さらに、どんな効果が生まれるのかなど、豊富な経験を持つプロとして的確な判断ができることが大切です。よって、基本的にはプロに任せるべき領域となりますが、この考え方はビジネスのコミュニケーションにも応用することができるでしょう。

「相手が何を求めているのか? 何を知りたいのか?」

「どう伝えればこちらの意図がうまく伝わるのか?」

などと、相手の目線になって考えていくことはコミュニケーションの基本。デキるビジネスパーソンは日々、こうしたことを意識しているはずです。お客様の意図をつかむとき、提案をわかりやすく伝えるとき、社内の報告・連絡・相談。部下への指示出し。そうした数々のシーンにおいても、クリエイティブと共通するポイントはありそうです。

さて、最終回となる次回は、これまでの内容を踏まえ、ブランディングの実例を紹介いたします。

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