環境対策実務情報メディア「環境ビジネス」
最終更新:2026年09月17日

SHIGYO法

環境ビジネス編集部
環境ビジネス編集部

SHIGYO法とは、山口大学農学部の執行正義教授と昭和電工(現・株式会社レゾナック・ホールディングス)が共同開発した、LEDを用いた植物の高速栽培技術である。

深赤色光と青色光を交互に連続照射することで光合成を促進し、栽培期間の大幅な短縮と収量増加を実現する。名称に「法」が含まれるが、環境法令ではなくアグリビジネスや施設園芸分野における革新的な栽培手法を指す。

照射のメカニズムと波長制御技術

植物の成長には、光合成を促進する赤色光と形態形成を司る青色光が不可欠である。SHIGYO法では、光合成効率が高い深赤色光(波長約660nm)と、葉や茎の健全な生育を促す青色光(波長約450nm)のLED照明を採用している。

従来の植物育成照明のように両色の光を同時に当て続けるのではなく、深赤色光と青色光を一定周期(12時間ごと等)で切り替えながら交互に連続照射する点が最大の特徴である。光環境に変化を与えることで植物の受容機構や体内リズムに働きかけ、形態の乱れを抑えながら成長速度を最大化させる。

生産性向上と省エネルギー効果

SHIGYO法の導入による最大の利点は、生産回転率の向上とエネルギー消費の抑制を両立できる点にある。主な実証効果は以下の通りである。

  • 栽培期間の短縮:リーフレタスの場合、従来の蛍光灯栽培における約42日間から約32日へと約10日間の短縮が可能。
  • 回転率と収量の向上:年間の作付け回転数が従来の7〜8回転から約12回転へと向上し、同栽培期間における収量は従来の約2〜3倍に拡大。
  • 消費電力の削減:蛍光灯照明と比較して単位時間あたりの消費電力を約50%削減。

植物工場ビジネスにおける実務と最新動向

2024年に成立・施行された改正食料・農業・農村基本法や「みどりの食料システム戦略」のもと、気象災害リスクを回避し食料安全保障と省資源化を支える完全人工光型植物工場の重要性が高まっている。一方で、植物工場経営では電気料金の高騰に伴う動力光熱費の負担が事業採算上の重大な課題となっており、省エネ性と高収量化を兼ね備えた波長制御技術への期待は大きい。

導入実務においては、照射時間や明暗サイクル、光強度の最適値が栽培品目や品種によって異なるため、設備導入のみならず品目ごとの光照射レシピ(プログラミング)の最適化管理が成否を分ける要因となる。近年では葉物野菜にとどまらず、ハーブ類やネギ類への適用拡大に加え、照射パターンの調整により抗酸化物質などの機能性成分含有量を高める高付加価値化の研究も進展している。

参考

注目情報(PR)

この記事にリアクションして1ポイント!
(※KAIGI ID登録でポイントを貯められます)

環境ビジネス編集部

環境ビジネス編集部

環境ビジネスは、温暖化防止のための世界で初めての国際協定である京都議定書が1997年に採択されたことを受けて、その翌年創刊しました。当時、『21世紀は、環境の世紀』といわれ、私たちは、新たな時代の到来はもちろんのこと、新たな産業の息吹を感じ、環境に関するビジネスに役立つメディアを出版することになりました。ウェブマガジン「環境ビジネスオンライン」では、環境業界の注目ニュース・最新トレンド・政策・企業情報解説記事など、実務に役立つ情報・サービスを提供しており、多くの実務層の方々にご参照いただいています。

この情報をシェア


オススメ情報(PR)


新着イベント