環境用語集 ISO14001:2015(改正ISO14001)

ISO14001は、国際標準化機構(ISO)が策定した環境に関するマネジメントシステム規格。ISO14001では、組織が環境マネジメントシステムに関する意図した成果を達成するための仕組みを規定している。 1996年に初版のISO14001:1996が発行され、2004年に第2版としてISO14001:2004、そして、今後長きに渡り安定して活用できさまざまな環境状態の変化への対応を可能な規格とすることを目的に、2015年9月にISO14001は改訂され、ISO14001:2015として発行された。

ISO14001改訂の主なポイント

ISO14001改訂の主なポイントは、以下の6点。

1. 他のマネジメントシステム規格(ISO9001等)との整合

他のマネジメントシステム規格との整合性を取ることを容易にするために、ISOで規定されるマネジメントシステム規格に共通的に用いられる規格の構成を採用している。これにより、組織が複数のマネジメントシステムを事業プロセスと一体的に運用することが容易となり、効率的かつ効果的なマネジメントを実施できるようになる。

2. 戦略的な環境管理

組織の戦略的な事業計画策定において、環境管理の重要性が増していることから、環境マネジメントシステムの確立に当たっての「組織の状況の理解」に関する事項が採用された。組織の状況とは、例えば、利害関係者のニーズ及び期待、組織に影響を与える又は組織からの影響を受ける地方・地域・グローバル規模の環境状態に関連する課題、周囲の状況変化に関連する課題が上げられている。

3. リーダーシップ

環境マネジメントシステムの成功を確実にするために、リーダーシップの役割をもつ人に対し、組織内の環境管理を促進することについてのコミットメントが求められている。

4. 環境保護

組織に対する期待として、組織の状況に応じて害及び劣化から環境を保護するための事前対応的な取組みへのコミットメントが追加された。今回の改訂では、“環境の保護”は定義されていないが、環境の保護が、汚染の予防、持続可能な資源の利用、気候変動の緩和及び気候変動への適応、生物多様性及び生態系の保護等を含み得るという記載が追加された。

5. ライフサイクル思考

組織自らが管理及び影響を及ぼす範囲については、調達された物品・サービスに関連する環境側面の管理に加えて、製品の使用及び使用後の処理又は廃棄に関連する環境影響にまで強化された。ただし、これはライフサイクル評価を行うことを要求するものではない。

6. コミュニケーション

外部及び内部コミュニケーションの双方に、コミュニケーション戦略の策定が求められている。これには、矛盾がなく一貫し、信頼のおける情報についてのコミュニケーションに関する要求事項、及び、組織の管理下で働く人々が環境マネジメントシステムの改善提案を行う仕組みを確立することに関する要求事項が含まれている。

【参考】
ISO14001改訂についてのアンケート 61%が「経営との結びつきが課題」と回答(2016/2/15)

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