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FIT見直し、経産省小委員会の報告書が公表 改正の考え方まとめ

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経済産業省の再生可能エネルギー導入促進関連制度改革小委員会は、固定価格買取制度(FIT)の見直し等について検討してきた結果を報告書に取りまとめ公表した。未稼働案件の発生を踏まえた新認定制度の創設や、事業用太陽光発電の買取価格を入札により決定する方式の導入などを柱とする。なお、政府は9日、本報告書を踏まえて、再生可能エネルギー特別措置法の改正案を閣議決定している。

本報告書では、エネルギーミックスにおいて示された2030年度における再生可能エネルギーの導入水準(電源比率22~24%)の達成を目指し、再生可能エネルギーの最大限導入と国民負担の抑制の両立を図るため、現行FITとその他の関連制度の見直し、また、研究開発等の事業環境整備として、なすべき改革の方向性を示した。また、今回の見直しから少なくとも3年ごとに制度を見直していくべきだとしている。

そのほか、本報告書に書かれている、今回閣議決定された再エネ特措法改正案の考え方は以下のとおり。

認定制度の見直しと未稼働案件への対応

特に太陽光発電において大量に発生している、FITの買取対象となる発電設備の認定(以下、FIT認定)を取得したにもかかわらず運転開始に至っていない未稼働案件への対応として、電力会社との系統接続の契約など事業の実施可能性や事業内容の適切性を確認した上でFIT認定を行う新しい制度を創設する。

また、買取価格の決定時点は、事業実施の確実性が確認された新たな認定時とすることが適当である。あわせて、認定取得後、各種手続きや工事着手が遅延することがないよう一定の期限を付す等の対策を講ずるべきである。

新しい認定制度の下では、現行制度の下でのFIT認定案件のうち、運転開始済みまたは系統接続の契約締結など新しい認定制度の要件を満たすものについては、現行制度の認定のステータス(買取価格等)を活かすこととし、その他の案件については、改めて認定を取得することを必要とすることが適当である。

長期安定的な発電を促す仕組み

事業開始前の審査に加え、事業実施中の点検・保守や、事業終了後の設備撤去等の遵守を求め、違反時の改善命令・認定取消を可能とする仕組みを導入すべきである。また、景観や安全上のトラブルが発生している状況に鑑み、事業者の認定情報を公表することや適切な形で地方自治体に提供できる仕組み(10kW未満の太陽光発電設備は対象外)を整備することが適切である。

コスト効率的な導入

現在、買取価格については、調達価格等算定委員会にて議論されており、制度見直し後における買取価格目標や買取価格決定方式の設定にあたっても同委員会における議論を通じ透明性を担保しながら制度を運用するべきである。

(1)中長期的な買取価格目標の設定

将来の買取価格についての予見可能性を向上させるとともに、その目標に向けた事業者の努力やイノベーションによるコスト低減を促す観点から、電源毎に中長期的な買取価格の目標を示すことが必要である。

(2)コスト低減や事業者の競争を促す買取価格決定方式

現状の太陽光発電や風力発電の買取価格は欧州の約2倍という高い水準にとどまっている状況にある。コスト効率的な導入を促す買取価格決定方式として、(1)特に効率的に発電できる事業者のコストを基準として毎年決定する方式(いわゆる「トップランナー基準方式」)、(2)買取価格の低減スケジュールを複数年にわたり予め決定する方式、(3)買取価格の低減率を導入量に連動させて変更させる方式、(4)買取価格を入札により決定する方式など、各国で採用された多様な方式から、導入実態を踏まえて最適な方式を選択して運用できる柔軟な仕組みとすべきである。その際、現在、年度毎に設定している買取価格をより細かい期間(例えば、半年や四半期毎)で設定することも検討すべきである。

現在の導入状況を踏まえると、事業用太陽光発電は、事業者間の競争を通じた買取価格低減を実現するため入札制度を活用すべきである。入札制度を活用する場合には、地域密着型の発電ビジネスの中核となっているような小規模な発電設備の導入や建物や工場等での自家消費一体型での導入に配慮すべきとの意見もあり、比較的大規模な発電設備から入札制度の対象とする等の対応が必要である。住宅用太陽光発電と風力発電は、価格低減のスケジュールを設定する方式を採用すべきである。

また、住宅用太陽光発電の導入拡大に向けて、FITとは別に、今後は「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」(ZEH)やエネルギーマネジメントシステムの導入促進など、省エネ施策と一体となった形での支援策の充実を図るべきである。これに併せて、2019年以降、住宅等における余剰買取制度の買取期間が終了する案件が発生することから、終了後も安定的な設備運用が可能となるよう送配電事業者等による買取メニューの策定などの措置を検討していくことが必要である。

(3)FIT制度に係る費用負担の在り方

賦課金の減免制度については、電力多消費事業の省エネの取組みの確認、国際競争力強化の趣旨の徹底を図る対応を行うべきである。また賦課金の減免水準についても、一律8割とすることの妥当性に関し、引下げを含めて、検討することが必要である。

リードタイムの長い電源の導入促進

地熱・風力・中小水力・バイオマスといった、完工までのリードタイムの長い電源については、「数年先の認定案件の買取価格決定」「環境アセスメントの迅速化等の規制改革」「FIT認定前の系統への接続申込みを可能とする仕組み」といった課題に対応していく必要がある。

電力システム改革を活かした導入拡大

電力システム改革の成果を活かすために、効率的な形での電力取引・流通の実現を通じて、再エネの導入拡大に結びつけていくために、必要な「計画的な広域系統整備・運用」「ローカル系統制約に対応するための情報の公表や入札募集ルールの活用」「送配電事業者による買取義務等を通じた広域融通等」「出力制御に関するルール整備等」の取組みについてまとめている。

その他

FIT制度の開始後、RPS認定設備の多くはFIT制度に移行し、経過措置中の「経過措置利用量」は認定設備の廃止の状況等にあわせて毎年減少していることから、一定の期間を設け、既存のRPS認定設備に悪影響が生じないような措置を講じながら、RPS制度の経過措置を廃止することが適当である。

FITの見直し等の背景

再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)は、2012年7月に「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」に基づいて創設された。制度創設以来3年間で対象となる再生可能エネルギーの導入量が概ね倍増するといった成果を挙げてきている。昨年7月に策定された「長期エネルギー需給見通し」(エネルギーミックス)では、2030年度において再生可能エネルギーが電源構成の22~24%を占めるとの見通しを示しており、この達成に向け、FITには引き続き重要な役割が期待されている。

一方で、制度創設以来、事業用太陽光への参入が急拡大しており、電源間でのバランスの取れた導入が求められるとともに、買取費用総額が本年度(2015年度)に年間約1.8兆円(賦課金総額は約1.3兆円)に達するなど国民負担の増大への懸念が高まっている。このため、再生可能エネルギーの最大限の導入と国民負担の抑制の両立を図るための制度見直しを行う必要がある。

導入が急速に進んだ太陽光発電については、早期の自立化に軸足を置きつつ、コスト効率的な形での導入を進める仕組みをつくる一方で、リードタイムが長く導入の進んでいない電源については、導入拡大を更に強力に推進するための制度改革を行う。また、自然変動電源が急増する中で電力系統面での制約も顕在化しており、電力システム改革の成果も活かしつつ、再生可能エネルギーの導入拡大に向けた新たなルール作りが求められている。

本小委員会では、「新エネルギー小委員会」が13回の議論を経て昨年9月にとりまとめた「議論の整理」を踏まえつつ、固定価格買取制度など関連する制度の具体的な改革の方向性について昨年9月から6回にわたって議論を重ねてきた。この議論の結果に基づき、今後必要となるFITをはじめとする制度改革等について、本小委員会としての見解を報告書として取りまとめた。

【参考】
経済産業省 - 総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会 再生可能エネルギー導入促進関連制度改革小委員会‐取りまとめ

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