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膨大な地下水の熱エネルギー利用実験 目指すは冷暖房コストを35%省エネ

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膨大な地下水の熱エネルギー利用実験 目指すは冷暖房コストを35%省エネ

帯水層蓄熱利用システムの仕組み

大阪市は、10月から、JR大阪駅の北側にある「うめきた2期区域」(JR梅田貨物駅跡地)において、地下水を多く含む地層(帯水層)から熱エネルギーを採り出して、建物の冷房・暖房を効率的に行う、帯水層蓄熱利用の実証事業を開始する。

帯水層蓄熱利用は、再生可能エネルギーのひとつである地中熱利用の一種で、この技術は、省エネルギー、CO2排出削減、ヒートアイランド現象の緩和策として期待されている。

大阪市域は地上には熱需要の高い事業所が集中し、一方で地下の浅層には豊かな地下水が存在していることから、帯水層蓄熱は地域特性に即した未利用エネルギーであると考える。市内の帯水層蓄熱利用ポテンシャル量は、2,800万ギガジュール/年であり、これは、市内の年間エネルギー消費量の約15%に相当するという。

この実証は、環境省CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業の採択を受け、「帯水層蓄熱のための低コスト高性能熱源井とヒートポンプのシステム化に関する技術開発」として、産学官連携にて行うもの。大阪市のほか、大阪市立大学・岡山大学・関西電力・三菱重工業・ニュージェック・環境総合テクノス・森川鑿泉工業所が参画する。

実証事業の期間は2015年度から2017年度(予定)。2015年4月に技術開発を開始し、2016年10月よりうめきた2期暫定利用区域にて実証施設工事に着手。2017年1月に実証運転を開始する予定。

また、うめきた2期区域では、民間による開発プロジェクトが本格化するまでの暫定利用事業が順次始まっている。本実証事業もその一環で実施されるもので、実証を通してうめきた地区のプロモーションにも寄与していく。

目指すは従来比35%の省エネとピークカット

この実証では、業務用ビルの冷暖房用の熱源として、新たに開発した大容量熱源専用井戸(※)から熱のみを採り出し、夏期に冷水を作ると同時に生じる排熱は地下に蓄え、半年後の暖房用熱源として使用する。同様に、冬期には暖房用温水を作るとともに冷房用の冷水を蓄える。

このように季節間での切換え運転により、地下に蓄えた熱を有効に活用することで、従来システム比35%の省エネの実現を目指す。また、夜間電力で冷水を作り地下に蓄え、昼間に利用することによる電力需要のピーク抑制も目指す。

※大容量熱源専用井戸
2本1組の熱源井戸で大容量の地下水を揚水・還水することにより、熱のみを採り出し、約10,000平方メートル以上のクラスのビルの空調を賄うことができる。

地下水の適正な有効利用のための検討

大阪市域はかつて過剰な地下水の汲み上げによる地盤沈下を経験したが、「建築物用地下水の採取の規制に関する法律」等による地下水の採取規制により昭和40年代頃からは沈静化している。

法による地下水の採取規制は現在もなお続いているが、本技術開発において熱のみを採り出すことで地盤沈下を抑制する技術に見通しがついた。そこで今回の実証を通してデータを蓄積しながら、国や学識経験者らの意見を得て、大阪市域における地下水の適正管理手法を検討し、揚水規制のあり方に関する提言や特区制度の活用等により、地下水の適正な有効利用と帯水層蓄熱利用システムの実用化をめざす。

大阪市内の帯水層蓄熱利用ポテンシャルマップについて

市域を250メートルのメッシュで区切り、帯水層蓄熱利用のポテンシャル量を分布図にしたものが帯水層蓄熱利用ポテンシャルマップで、メッシュごとに利用可能な熱エネルギーの目安を色で示している。

高いポテンシャルは上町台地以西と南東部に分布しており、梅田・中之島地区など熱需要が高いと考えられる市内中心部が含まれていることがわかる。

なお、本マップの熱量は、既存の地盤データに基づき試算した推計値であり、実際の状況と異なる場合がある。また、本マップはベータ版であり、今後、さらに詳細な情報を付してマップナビおおさかに登載し、正式版として11月頃に公表する予定。

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