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住宅用太陽光発電の「2019年問題」 ヒートポンプ給湯器で解決する研究

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住宅用太陽光発電の「2019年問題」 ヒートポンプ給湯器で解決する研究

家庭用太陽光発電 ― ヒートポンプ給湯機最適運用モデル

科学技術振興機構(JST)は6月7日、JST戦略的創造研究推進事業の一環として、東京大学(東京都文京区)などが、ヒートポンプ給湯機によるデマンドレスポンス効果住宅用蓄電池の活用による家庭用太陽光発電システムの自家消費量拡大の効果について評価を行った研究結果を発表した。

2019年以降、住宅用太陽光発電システムの固定価格買取制度(FIT)による買い取りが終了することで、買取単価が大幅に下落する太陽光発電の「2019年問題」が顕在化し、家庭用太陽光発電保有世帯の経済性が悪化することが懸念されている。

そこで、同研究グループは、2019年問題への対応として、ヒートポンプ給湯機によるデマンドレスポンス効果と家庭用蓄電池の活用を目的とし、天気予報や過去需要・発電量をもとにヒートポンプ給湯機・蓄電池の予測 ― 運転計画 ― 運用モデルを構築。357世帯の実電力消費量データを用いて分析を実施した。

その結果、給湯機の最適な運用、すなわち、晴れた日の昼間に湯沸かし運転を行うことによって、従来の夜間運転に比べて、平均で年間5,800円のコストメリットと、8%の省エネ効果をもたらすことがわかった。

このとき家庭用太陽光発電量の自家消費率は32%から45%へ増加し、家庭用蓄電池2~4kWhを導入した時と同等の効果があることを確認した。

各ケースにおける正味電力消費量および自家消費率

各ケースにおける正味電力消費量および自家消費率

電力系統全体の柔軟性向上にもヒートポンプ給湯機を活用

ヒートポンプ給湯機の最適運転は晴れる日の昼間運転することで、デマンドレスポンスの価値は非常に高くなり、省エネにも貢献する。

近年、給湯機の通信規格も見直され、昼間沸き増しなど、より柔軟な運転が可能となる下地も整ってきている。研究チームは、今後、実フィールドで実機に導入可能なヒートポンプ給湯機の運転方法を検討するなど、より現実的な家庭用太陽光発電の自家消費量拡大効果を評価していく考えだ。

また、長期的には、再生可能エネルギーが大量導入されたときの電力系統全体の柔軟性向上にヒートポンプ給湯機を活用していくことが重要であり、その貢献について全国的に評価していく予定。

なお、同研究は、東京大学の生産技術研究所エネルギー工学連携研究センターの岩船由美子特任教授が、デンソー(愛知県刈谷市)の金森淳一郎氏、榊原久介氏と共同で実施し環境省の支援を受けたもの。また、積水化学工業(大阪府大阪市)、ファミリー・ネット・ジャパン(東京都品川区)、トヨタホーム(愛知県名古屋市)からのデータ提供の協力を受けた。

住宅用太陽光発電の2019年問題とは

以前から導入されていた住宅用太陽光発電システムには、余剰電力買取制度の下、48円/kWhの買取価格が適用されてきたが、最も早いもので2019年11月に買取期間が終了する。

2019年に終了する対象は、1992年7月~2009年10月設置分の120万kWといわれており、その後、FIT対象設備も含めて毎年10~20万件程度が買取期間終了を迎えることになる。

買取期間終了に伴い、太陽光発電システムの余剰買取価格は、48円/kWh(固定価格買取制度対象は33~42円)から大幅に下がることになり、現在の見通しでは、5~10円程度とされている。

これがいわゆる太陽光発電の2019年問題である。この2019年問題への対応として、太陽光発電の自家消費拡大に対するニーズが拡大するとみられている。

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