食品廃棄物モラルハザード

第2回 リサイクルとあるべきコンプライアンス 他業界編

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食品廃棄物の不正転売事件の影響は食品リサイクル法の判断基準省令の改正と不正転売防止のためのガイドラインの策定だけに留まらない。廃棄物処理法は、大幅改正された平成23年から5年が過ぎ、現在見直しの方向性が審議されている。見直しの方向性について審議を行っている中央環境審議会の処理制度専門委員会では、その報告書案のパブリックコメントを実施している。前回の改正も処理制度専門委員会の報告書の内容が概ね取り入れられた改正となったことから注目されているが、この報告書案の中にも、不正転売事件を受けての規制等の見直しや、排出事業者に求められるコンプライアンスについて示されている。

廃棄物処理制度専門委員会報告書(案)から見る今後のコンプライアンスのポイント

見直しの論点見直しの方向性で示されたポイント報告書案から想定する改正等の例
産業廃棄物の処理状況の透明性の向上(1)中間処理業者が再生を行う場合、排出事業者が、再生後のフローを含めて再生利用が行われている状況を確認すことが極めて重要・施設確認の際の確認事項として通知等で基準を提示
マニフェストの活用(2)マニフェストの虚偽記載等への罰則強化を検討すべき(現状、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金)
(3)マニフェスト虚偽記載の防止に資する電子マニフェストのシステムの強化を検討すべき
・法改正による罰則強化
・JWNETのシステム改善
廃棄物を排出する事業者の責任の徹底(4)排出事業者が廃棄物処理の根幹的業務を、第三者に委ねることにより、排出事業者としての意識が希薄化しないよう、排出事業者責任の周知徹底を図るべき
(5)廃棄物の適正処理確保の観点から、排出事業者は廃棄物処理に関する法令等の趣旨や内容を適切に理解した上で、排出事業者責任を全うすることが重要
・管理業者に任せた廃棄物管理に対する通知等による指針の提示
・排出事業者の担当者に対する講習会等による知識向上の推奨

表は、報告書の中で示された見直しのポイントの内、昨年の不正転売事件の影響を受けて盛り込まれたポイントをまとめている。マニフェスト制度に関しては、今回の事件が電子マニフェストを利用して、虚偽報告がされていたことを受けて、罰則の強化による抑止とシステム改善による未然防止が言及されている。

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