洋上風力発電が描くe燃料産業

旧態依然の電力事業が崩壊 大手商社が大規模洋上風力の担い手に

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数千億円以上の投資になる洋上風力発電プロジェクトは、資本力はもちろんのこと、長期経営戦略に基づいたプロジェクト組織力やプロジェクトマネジメント能力、産業を横断したネットワーク、高いコスト意識が求められる。洋上風力開発が進む欧州では、すでに発電事業者の経営苦戦が始まっている。

大規模洋上風力の入札価格は3円

国内では、2019年に再エネ海域利用法が施行され、発電事業者が洋上風力に適した一般海域(促進地域)を30年間占有できる仕組みができた。同法に基づいて初めて実施された大型入札(第1ラウンド/2020年11月から2021年5月まで募集)では、秋田県能代・男鹿・三種区域、秋田県由利本荘区域そして千葉県銚子区域のすべてを三菱商事グループが落札した。

三菱商事が選ばれたのは、圧倒的な入札価格の安さで、由利本荘11.99円/kWh、能代など13.26円/kWh、銚子16.49円/kWhと、上限価格29円の1/2から1/3の水準で他グループを圧倒した。入札以前は、上限価格が1kWh当たり29円に設定されており、政府も20円台前半で応札できれば驚異的な安さと予測していた。

そして、第2ラウンド。国が提示した供給価格の上限額は19円/kWh。前回の入札価格が衝撃の低額であったことから、電力事業者らが反発した経緯もあり、初回の応札価格より7円から2.5円高い水準で設定していた。ところが結果は、秋田沖、新潟沖いずれも最低価格の1kWh当たり3円(長崎沖は同22.18円)であった。

もはや、国と電力事業者の慣例的な価格調整策では把握できない次元で、日本の洋上風力事業は動きだしていたのである。

ラウンド1、2すべて大手商社が落札

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