ペロブスカイト太陽電池の早期社会実装に向けて、国はGI基金、GX債による先行投資を加速化し、企業の量産技術の確立やユーザーと連携したフィードル実証事業、サプライチェーンの構築を切れ目なく後押しする。資源エネルギー庁新エネルギー課、津田 健人課長補佐は「勝負はここ数年で決まる」と期待を寄せる。
大型化と耐久性で世界をリード
世界の脱炭素化を牽引してきたシリコン系太陽電池の変換効率が理論的限界に近づくなか、次世代型太陽電池の本命といわれるペロブスカイト太陽電池(PSC)の開発を巡って、グローバルで熾烈な競争が繰り広げられている。
中国では2012年、研究開発に着手したといわれるDaZhengや2019年に創業したGCL Perovskite等が量産に向け動き出している。英国ではオックスフォード大学発スタートアップのオックスフォードPVがペロブスカイト・シリコンのタンデム型で住宅・発電事業用をターゲットに、2025年前後の大量生産を目指す。そのほか、ポーランド・スイス・米国など各国でも研究開発が活発に進められている。
一方、日本でも25年に量産化を目指す積水化学工業をはじめとして、カネカ・東芝・パナソニック・エネコートテクノロジーズ・アイシンなど各社がそれぞれの特徴・強みを活かし製品開発を取り組んでいる。PSCは日本発の技術で、軽量で柔軟なフィルム型、建材一体型、シリコン系と積層するタンデム型、IoT電源モジュール等と用途も多様で、市場のすそ野も広い。
津田氏は「日本は製品化のカギとなる大型化と耐久性で世界をリードしている」とし、十分に勝機があるとみている。
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