ペロブスカイト太陽電池の実用化サイズで世界最高の発電効率を達成したパナソニックグループが、ガラス建材一体型に絞って、製品化を目指す。建物の窓や側面、バルコニー、ショーウインドウなど用途は多様。23年8月からの実証試験に続き4月から1.0×1.8メートルの試作ラインを立ち上げる。
モデルハウスのバルコニーでデザイン・発電性能、耐久性などを実証
パナソニックホールディングスは2023年8月、神奈川県藤沢市のFujisawaサスティナブル・スマートタウンで、建材一体型のペロブスカイト太陽電池(以下PSC)の実証試験を開始した。新設されたモデルハウスの2階バルコニー(幅3876mm×高さ950mm)に、グラデーション状の透過性のガラス建材一体型PSCのプロトタイプを小型のモジュールと組み合わせて配置し、目隠し性と透過性を両立したデザインや長期間設置による発電性能、耐久性などを検証する。
ガラス建材一体型PSCとは、建築資材であるガラス基板上に直接、発電層を形成した太陽電池。建物の窓や側面、ショーウインドウ、トップライトなど、ガラスが使える場所であればどこでも設置できる。シリコン系太陽電池のように建物の屋上・屋根など設置場所が限定されず、景観を損ねることなく街並みに調和することで不動産価値を高める効果もある。
PSCは柔軟性のあるフイルム基板に発電層を形成するタイプやPCSとシリコンを積層するタンデム型、センサー端末電源など幅広い用途・製品化が可能だ。
パナソニックHD技術部門テクノロジー本部マテリアル応用技術センター1部の金子 幸広部長は、ガラス建材一体型を選択した理由として、「お客様から今まで設置できなかった場所への太陽電池の導入のご要望が大変多い中、ビルや建物のオーナー様から屋根以外にも垂直面への設置の要望をお伺いしています。最近は全体をガラス建材で覆ったビル・建造物が増えていますが、建物の窓や側面にPSCを組み込む場合に、建材ガラスと一体化すれば、従来の建材ガラスと同様に施工が可能で建物の堅牢性を担保することができます」と説明する。
藤沢市での実証試験は国内で初めての建材一体型PSCの展示ということもあり、ビルオーナーや建設会社、設計事務所などから多くの問い合わせが寄せられている。中にはすぐにでも導入したいとの声もあり、現地見学(1日3組まで)も、ほぼ連日、予約で埋まっているという。
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