薄膜太陽電池の活路は多様でニッチな再エネ需要

積水化学、「ペロブスカイト太陽電池」開発 25年度事業化に向けた課題とは

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積水化学工業は本社入居ビルにペロブスカイト太陽電池を国内で初めて常設設置。さらに世界初の高層ビルメガソーラーにも採用される。同社は大規模な社会実装に向け、企業・自治体と実証実験を加速し、25年度事業化を目指す。

次世代型太陽電池の本命と期待、建物外壁に固定し風荷重に20年耐える

2023年10月、積水化学は大阪本社が入居する堂島関電ビルにフィルム型のペロブスカイト太陽電池(以下、PSC)を国内で初めて常設設置した。同ビルは現在もリニューアル中で、25年4月に完工予定だ。当初、同社製フィルム型PSCは2025年大阪万博で「未来ショーケース事業(グリーン万博)」に協賛し、西ゲート交通ターミナルのバスシェルターに設置・お披露目が予定されていたが、次世代型太陽電池の本命と期待が高まるなか、急遽前倒しとなった。

積水樹脂と共同検討した建材パネルは不燃性パネル上に30cm角のフィルム型PSCを3枚並べたもの(48枚)で、ボルトで建物外壁に固定する。この設置方法により、12階の風荷重に20年相当耐え、安定した発電性能を維持できる。また、施工・設置作業もシリコン系太陽電池に比べ容易で、作業時間・コストの削減が可能だという。

しかし、積水化学では同ビルの設置方法はあくまでも安全性に配慮した暫定的なものとし、現在、フィルム型PSCの軽量で柔軟という特徴を活かした標準的な設置方法について、実証実験で模索している最中だ。

ペロブスカイト太陽電池を国内ではじめて常設設置した積水化学大阪本社が入居する堂島関電ビル
ペロブスカイト太陽電池を国内ではじめて常設設置した積水化学大阪本社が入居する堂島関電ビル

世界初の高層ビルメガソーラーにフィルム型PSCが採用

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