河川には堰や水門・樋門・閘門・床止め、排水機場などさまざまな河川管理施設(1万804施設、2023年度末現在、国管理施設のみ)がある。
河川管理は河川の重要度において国と地方がそれぞれ河川管理者として役割を分担。1級河川直轄管理区間は国、1級河川指定区間と2級河川は都道府県など、準用河川(1級・2級河川以外の河川の中から市町村が指定)は市町村が管理する。
堤防延長は国管理河川では、約1万2000km、都道府県・政令市管理河川(1級、2級)を併せると約5万7000km(いずれも2022年度時点、法定点検評価対象)。
老朽化の現状

河川管理施設の老朽化の状況は、建設年度で一律に決まるのではなく、立地環境や維持管理の状況などによって異なるが、建設後50年以上経過する河川管理施設の割合は、2023年で約22%、2030年で約42%、2040年で約65%が見込まれる。
今後、建設後50年以上経過する施設の割合が加速度的に高くなる。主な河川構造物の管理者は、国35.0%、都道府県64.8%、政令市0.2%となっている。
点検
樋門、水門、排水機場などの河川管理施設が洪水時などに所要の機能を発揮できるよう、施設の状態を把握し、適切な維持管理を行う必要がある。
2013年の河川法の改正により、1年に1回以上目視点検、打音検査、管理運転による動作確認などの点検を実施している(一定規模の出水後などにも点検を実施)。
健全性の診断は、「堤防など河川管理施設及び河道の点検・評価要領」に基づく点検結果を踏まえて、(A)異常なし、(B)要監視段階(経過を監視する必要がある状態)、(C)予防保全段階(予防保全対策を実施することが望ましい状態)、(D)措置段階と4段階に区分して行う。
A・B・C区分は機能支障なし。判定区分の割合は、2022年度末時点で、主要な河川構造物について、異状なし21.1%、要監視段階55.1%、予防保全段階23.7%、措置段階0.1%。
修繕などの進捗
2022年度末時点で予防保全段階(C区分)および措置段階(D区分)にあると判定された施設のうち、修繕などの措置の対象となる施設に対する着手済の割合は100%(実数値1569/1569)、そのうち完了した割合は、100%(実数値1569/1569)である。
課題と今後の方針
点検・診断・維持管理などの担い手が不足する中で、効率的・効果的にインフラメンテナンスを実施していくためには、点検において新技術を活用していくことも重要である。
国交省では、河川管理施設などの点検や巡視について、現場への一層の新技術導入を促進し、点検などの効率化・高度化を図るため、河川分野の点検者などのユーザーに有効な技術の選択肢を提示することを目的として「河川点検技術カタログ」を公表している。
財政的支援
国交省では、河川管理施設の老朽化対策を計画的に実施するため、点検、更新、改築などを対象とし、個別施設計画として長寿命化計画を策定して、
当該計画に
- ライフサイクルコスト(LCC)の縮減に関する具体的な方針
- 新技術の活用などに関する目標
- それらによるLCC縮減効果、が記載されていること
などを要件として、河川メンテナンス事業補助制度で財政的支援を行う。
維持管理・更新費
河川(堤防・河道などの管理も含む)の維持管理・更新費は30年間で18〜25兆円(2018年推定)。