REDD

REDDとは、国際的な枠組み「Reducing Emissions from Deforestation and Forest Degradation in Developing Countries(開発途上国における森林減少・劣化などによる温室効果ガス排出量の削減)」の略称。
REDDは開発途上国の森林減少や劣化の抑制活動に経済的なインセンティブを付与することで、温室効果ガス排出削減を促進する枠組み。現在では森林保全や持続可能な森林経営、森林炭素蓄積の増加などを包括した「REDDプラス(REDD+)」へと発展し、国際的な気候変動対策の中核として定着している。
REDD/REDD+のパリ協定上の位置づけと「管轄型」への移行
世界のGHG排出量のうち、途上国の森林減少や劣化に起因する割合は約1割を占めるとされる。このため、森林の保全および持続的管理は地球規模の気候変動対策において不可欠な領域となっている。2015年に採択されたパリ協定第5条第2項において、REDDプラスの実施および支援方針が明記され、公式な国際緩和枠組みとして位置づけられた。
実務面では、過大算定や特定地域外へ伐採が移動するリーケージ(炭素漏出)リスクを抑えるため、従来の個別事業地単位(プロジェクト型)から、国や州・県単位で参照レベル(基準値)を設定・管理する「管轄型アプローチ(Jurisdictional REDD+/J-REDD+)」への移行が国際的な主流となりつつある。国・準国レベルの大規模クレジットを認証する「ART TREES」などの高完全性規格も台頭している。
パリ協定第6条の合意と二国間クレジット制度(JCM)の展開
2024年に開催されたCOP29において、パリ協定第6条(市場メカニズム)の詳細ルールが合意され、完全運用化が実現した。これにより、REDDプラスを含む森林由来クレジットの国際移転基準や、クレジットの二重計上を防ぐための「相当調整(Corresponding Adjustment)」の運用ルールが明確化された。
日本政府も二国間クレジット制度(JCM)を活用したREDDプラスの案件形成を進めている。カンボジアのプロジェクトからクレジットが発行された実績があるほか、パリ協定第6条2項に適合させるための森林分野ガイドラインの改訂や各国との連携作業が継続して行われている。
企業実務におけるクレジット調達とデューデリジェンス
カーボンクレジットを調達・活用する企業にとって、REDDプラス由来クレジットの選定には慎重なデューディリジェンス(Due diligence)が求められる。炭素市場健全性協議会(ICVCM)によるコアカーボン原則(CCPs)策定などに伴い、算定方法論の妥当性や炭素蓄積の永続性に対する評価基準は厳格化しており、甘いベースライン設定による過大評価やグリーンウォッシュとみなされるレピュテーションリスクへの配慮が不可欠である。
調達にあたっては、ホスト国のNDCとの重複を防ぐ相当調整の適用有無の確認に加え、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)のカンクン・セーフガードに基づく地域住民・先住民族の「事前の自由意思による合意(FPIC)」や利益配分メカニズムが適切に順守されているかを精査することが、ESG調達における重要な判断基準となる。
参考
- 林野庁 ― 森林・林業分野の国際的取組(開発途上国の森林減少及び劣化に由来する排出の削減等(REDD+))
- 環境省 ― 国連気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29)結果について
- 独立行政法人国際協力機構(JICA) ― 途上国の森林保全(REDD+)への取り組み
- 国連気候変動枠組条約(UNFCCC) ― REDD+ Web Platform
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