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最終更新日:2026年01月23日

ペロブスカイト太陽電池

環境ビジネス編集部
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目次

ペロブスカイト太陽電池とは

ペロブスカイト太陽電池は、ペロブスカイト結晶構造を持つ材料を発電層に用いた次世代型の太陽電池である。

結晶シリコン太陽電池は高い性能と長期運用が前提となる一方、屋根設置では建物側の荷重条件を満たす必要があり、構造確認が重要になる。これに対しペロブスカイト太陽電池は、薄膜化・軽量化が可能で、曲面や壁面、建材一体型(BIPV)などへの応用が期待されている。

発電材料として用いられるペロブスカイトは、比較的低温・簡易な製造プロセスで成膜できる特性を持ち、将来的には製造コスト低減や量産化による価格競争力の向上が見込まれている。また、低照度環境でも発電性能を発揮しやすいとされ、屋内光や曇天時の発電といった新たな用途領域も研究が進められている。

原材料の観点では、主原料のひとつであるヨウ素について日本が世界有数の生産国であり、ペロブスカイト太陽電池は、再生可能エネルギーの導入拡大と同時に、エネルギー安全保障や産業競争力の観点からも期待される技術と位置づけられている。

商用化に向けては、長期安定性やスケールアップ(大面積化・量産プロセス)の確立が主要課題とされており、コストは「量産・信頼性の前提が整った段階」で評価が定まっていく。こうした背景から、日本を含む各国で実証事業や導入支援策が進められており、今後の技術進展と市場形成の動向が注目されている。

次世代太陽電池・薄膜太陽電池とペロブスカイト太陽電池の関係

ペロブスカイト太陽電池は、しばしば「次世代太陽電池」や「薄膜太陽電池」といった言葉と併せて語られるが、これらは同義ではなく、位置づけの異なる概念である。

次世代太陽電池との関係

「次世代太陽電池」とは、現在主流である結晶シリコン太陽電池に続く技術として期待される新しい太陽電池技術の総称であり、特定の方式を指す名称ではない。この中には、ペロブスカイト太陽電池のほか、タンデム型太陽電池、有機薄膜太陽電池、量子ドット太陽電池など、さまざまな技術が含まれる。

ペロブスカイト太陽電池は、

  • 軽量・柔軟といった設置面での優位性
  • 製造プロセスの簡素化によるコスト低減の可能性
  • 都市部・既存建築物への適用可能性

といった特長から、次世代太陽電池の中でも社会実装が比較的近い技術のひとつとして位置づけられている。

薄膜太陽電池との関係

一方、「薄膜太陽電池」とは、発電層を薄い膜状に形成する太陽電池の構造・製法を指す分類であり、これも特定の材料を示す名称ではない。従来から知られる薄膜太陽電池には、アモルファスシリコン太陽電池やCIGS太陽電池などがある。

ペロブスカイト太陽電池は、薄膜構造を採用しやすい特性を持つことから、薄膜太陽電池の一種として分類されることが多い。

整理すると、

  • 次世代太陽電池
    • 将来の主力候補となる新技術の「総称」
  • 薄膜太陽電池
    • 発電層の構造・製法による「分類」
  • ペロブスカイト太陽電池
    • 次世代太陽電池の一つであり、薄膜太陽電池としての特性も持つ技術

このように、ペロブスカイト太陽電池は、「次世代」という時間軸の文脈と、「薄膜」という構造・用途の文脈の両方で語られる技術であり、その特性を正しく理解することが、導入検討や事業活用を考える上で重要となる。

ペロブスカイト太陽電池の仕組み

ペロブスカイト太陽電池に使われる「ペロブスカイト」とは、特定の結晶構造を持つ化合物の総称である。名称は、同様の結晶構造を持つ鉱物「ペロブスカイト(CaTiO₃)」に由来しており、現在太陽電池用途で使われる材料は、鉱物そのものではなく、有機物と無機物を組み合わせた人工的な結晶材料である。

このペロブスカイト結晶は、光を効率よく吸収し、電気に変換しやすい性質を持つことが知られている。また、結晶層を非常に薄く形成できるため、ガラスだけでなく、フィルムや金属箔など多様な基材の上に成膜できる点も特徴だ。

こうした特性により、ペロブスカイト太陽電池は、従来のシリコン太陽電池では難しかった軽量化・柔軟化・大面積化といった方向での技術開発が進められている。

発電の基本原理

ペロブスカイト太陽電池の発電の仕組み自体は、太陽光を受けて電子が動き、電気が生まれるという点で、従来の太陽電池と大きく変わらない。

太陽光がペロブスカイト結晶に当たると、材料内部で電子がエネルギーを受け取って動き出す。この電子の移動を、電極を通じて外部回路に流すことで電力として利用する。

ペロブスカイト太陽電池のしくみ(引用元:産総研マガジン

ペロブスカイト材料の特徴は、

  • 薄い膜でも光をよく吸収できる
  • 電子の移動が比較的スムーズに起こる

といった点にあり、これが高い変換効率や低照度下での発電性能につながっている。

また、ペロブスカイト層は比較的低温で形成できるため、高温処理を必要とするシリコン太陽電池に比べ、製造工程の簡素化や省エネルギー化が期待されている。

ペロブスカイト太陽電池の特徴・メリット

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環境ビジネス編集部

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環境ビジネスは、温暖化防止のための世界で初めての国際協定である京都議定書が1997年に採択されたことを受けて、その翌年創刊しました。当時、『21世紀は、環境の世紀』といわれ、私たちは、新たな時代の到来はもちろんのこと、新たな産業の息吹を感じ、環境に関するビジネスに役立つメディアを出版することになりました。ウェブマガジン「環境ビジネスオンライン」では、環境業界の注目ニュース・最新トレンド・政策・企業情報解説記事など、実務に役立つ情報・サービスを提供しており、多くの実務層の方々にご参照いただいています。

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