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FIT見直しに対する各業界の意見まとめ 太陽光パネルの廃棄や国民負担など

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FIT見直しに対する各業界の意見まとめ 太陽光パネルの廃棄や国民負担など

経済産業省は28日、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)等の見直しに向けた議論を行っている有識者会議、新エネルギー小委員会(第13回)を開催した。

今回の小委員会では、事務局よりこれまでの議論の内容と今後の検討課題についてまとめた「新エネルギー小委員会におけるこれまでの議論の整理(案)」が提示された。また太陽光発電風力発電中小水力発電地熱発電バイオマス発電の各関係団体へ現状と課題についてヒアリングを行った。

この「議論の整理(案)」という文書は、2030年度に向けて、再生可能エネルギーの導入をさらに進めていくための課題に対し、今後、施策の方向性を見出しつつ議論を深めるため、これまでに示された各論点について、主な指摘事項を整理したものである。

各論点(テーマ)別に寄せられた意見・指摘事項は下記の通り。

バランスの取れた再エネの導入拡大

電源毎の特性や導入経緯・実績を踏まえ、バランスのとれた導入拡大を進めていくべきとの方向性については、大きな異論はなかった。また、このために、リードタイムの長い電源については、一定の政策的支援や配慮が必要であることについても、特段の異論はなかった。

これらに関する「再生可能エネルギー導入政策のあり方」と「電源別」の今後の検討課題やそれに対する主な指摘事項について紹介している。

小水力発電に関しては、事業の検討開始から設備認定までの時間を多く要し、系統連系の上限問題による事業断念や、ファイナンス、人材不足、水車メーカーの生産能力不足などが課題として挙げられた。

小水力発電に関しては、事業の検討開始から設備認定までの時間を多く要し、系統連系の上限問題による事業断念や、ファイナンス、人材不足、水車メーカーの生産能力不足などが課題として挙げられた。

再エネ導入拡大と国民負担の抑制の両立

FITを通じて再生可能エネルギーの導入が拡大していく中で、賦課金等を通じた国民負担が増加傾向にあることから、今後は、再生可能エネルギーの導入拡大と国民負担の抑制を両立していくべきとの考えに異論は見られなかった。

国民負担の抑制の観点から、現行のFIT法には問題があるとの指摘が多かったが、制度の安定性とのバランスにおける具体的な制度設計や、マーケットメカニズムの導入、更に詳細な論点については、議論が必ずしも収斂しておらず、なお一層の検討が必要となると考えられる。

今後の検討課題として、「買取価格のあり方」、「電力多消費産業の減免制度」などがあげられている。

日本風力発電協会は、導入量拡大の方法として、「リパワリング」により発電量を増加させる方法を挙げた。上記例では発電量が約60%増加すると見込まれる。

日本風力発電協会は、導入量拡大の方法として、「リパワリング」により発電量を増加させる方法を挙げた。上記例では発電量が約60%増加すると見込まれる。

長期安定的な電力供給を担う、低コスト・自立電源化

再生可能エネルギーを長期間に渡り、安定的に低コストで発電する社会システムを支える自立電源としていくための基盤構築を進めていくべきとの考えに大きな異論はなかった。

また、再生可能エネルギーは地域に密着したエネルギー源であることから、地域における新しい産業の立地や雇用創出等の地域活性化と、地域社会や自然環境との調和等の各地域の実情に即した円滑かつ着実な導入を両立した地域に根ざした再生可能エネルギーの導入を実現していくべきとの考えにも大きな異論はなかった。

今後の検討課題として、「長期安定・低コスト・自立電源化」と「地域との共生」をあげる。「長期安定・低コスト・自立電源化」では、数十年後に大量の廃棄が予想される太陽光発電システムについて、適切な処理とリサイクルを実施するためのルールづくりを求める意見が寄せられている。また、買取期間終了後の対象電源の扱いが現時点では決まっておらず、買取期間終了後に一斉に供給が途絶えると、供給力が急激に下がってしまう事態も想定される(2019年問題)。ポストFITについても検討を行うべきとの意見を紹介している。

広域的な系統利用システム・ルールの構築

再生可能エネルギーの導入拡大のためには、既存の電力系統を最大限に活用し、電力会社単位ではなく、日本全体で最も効率的に再生可能エネルギーを受け入れるための広域的な系統システム・ルールの構築が必要との考えに大きな異論は見られなかった。

他方、系統も有限の資源であることから、運用ルールの見直し等により連系線や既存系統の最大限の活用が可能となっても、さらに増強を行う必要があるかどうかについては、追加的な国民負担も踏まえ、なお一層の検討が必要になると考えられる。

今後の検討課題として、「接続ルール」、「出力制御の運用」、「事後的に接続可能量が変化する場合の対応」、出力制御の新ルール「バンキング(出力制御の未実施分の繰り越し)・ボローイング(出力制御の事後的な調整)」、「先着優先ルール」、「系統整備とその費用負担」をあげ、主な指摘事項について紹介している。

その他

「買取義務者」、「電力システム改革との関係」、「インバランス」、「回避可能費用」等に関する意見をまとめている。「買取義務者を誰にするか」、「特定供給者のインバランス負担について再考すべきではないか」といった意見が盛り込まれている。


政府が示した2030年度のエネルギー需給構造の見通しでは、日本の総発電電力量に占める再生可能エネルギー電気の割合は、2030年度に22~24%となる見通しである。

現在、日本における総発電電力量に占める再生可能エネルギーの割合は12.2%(水力を除くと3.2%)(2014年度実績)。FITの導入により、制度開始前(2011年度)に比べて3年弱で再生可能エネルギー電源(除く大規模水力)の設備容量は約9割増加した一方で、太陽光に偏った導入が進んだ結果、接続保留問題をはじめとする系統制約の問題や、賦課金の上昇(2015年度で約1兆3,200億円の見込み)に示されるとおり国民負担の増大等の問題も顕在化している。

「議論の整理(案)」の全文は下記URLからダウンロードできる。

【参考】
経済産業省 - 総合資源エネルギー調査会 新エネルギー小委員会(第13回)配布資料

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